【ストレスチェック項目】3領域見れば社員が分かる

ストレスチェックの項目は全部で57項目です。57項目は、3つの領域にわかれます。ストレスチェックの3領域でどんなことがわかるのか、何を見ればよいのか、その信頼性について説明します。
【↓↓↓このこと書いています】
☑ ストレス反応 → ストレス要因 → ストレス緩和要因 の順番に見ていく
☑ ストレス反応が”今”の状況を反映し、最も重要な要素となる
☑ ストレスチェックの項目は、「ウソ」を見破る
ストレスチェック項目は1万人を超えるひとで実証
厚生労働省が推奨しているストレスチェックの項目は全部で57項目あり、仕事のストレス要因(17項目)、ストレス反応(29項目)、ストレス緩和要因(社会的支援9項目、満足度2項目)で構成されています。
このストレスチェックは、1999年(平成11年度研究)に研究班が多職種、多業種(21企業)で調査を実施し、 12,274名で信頼性、妥当性が確認されたものです。その後、審議会では9項目といった少なくしたチェック項目も同様に研究し、ストレスの状態を把握す るものとしては良しとされています。
マニア向け情報として、妥当性はクロンバック(Cronbach)の α信頼性係数を使用しています。これは、内部一貫性をみていて、項目の中に不適切なものがあると係数の値が下がります。一般的には0.8以上をもって「妥当」とします。
ストレスチェック項目から1つ目の領域:ストレス要因→過去を見る
ストレス要因とは、「心に影響を及ぼすような様々な刺激、ストレッサーのこと」です。
職場でのストレス要因(ストレッサー)には、職場環境、役割上の葛藤や不明確さなど、人間関係、対人責任制、仕事のコントロール、仕事の量的負荷と変動制、仕事の将来性不安、仕事の要求に対する認識、不十分な技術活用が挙げられます。
基本的には、「環境変化」のあったものをストレスと考えたほうが良いでしょう。
メンタルヘルスの不調には様々な種類がありますが、いずれも「職場のストレス要因を背景に発症することがある」ので、早めにストレス要因を知り対応することが必要です。
仕事場の明るさ、湿度、温度、騒音などの物理的な職場環境や長時間労働や交代制勤務などの要因も含まれます。
この項目で、ストレス要因を知るきっかけにします。


仕事の量的負荷から仕事の適正までの8つの要因を想定しています。すでに行われた1万人の研究結果から各要因の平均値がわかっています。
これをみると「仕事の量や質的負荷」は、女性の方がストレス点数が高いことからこの2つの要因がある場合、ストレスを感じやすいということになります。
これら8つの要因で重要となるのは、人事がラインケアに活かすことを考えれば、この4つでしょう。
→ 仕事の量的負荷:
「部下の残業をチェックしましょう」と人事から部長へ
→ 仕事の質的負荷:
「業務内容が孤立化、属人的になっていませんか」と人事から部長へ
→ コントロール:
「部長やマネージャーが仕事し過ぎていないか」人事からチェック
→ 対人関係:
「部長と部下の間で話し合う場がありますか?」と人事から部長へ

ストレスチェック項目から2つ目の領域:ストレス反応→今を見る
ストレス反応とは、「心や身体に生じる変化」のことです。
仕事によるストレス要因の影響を受けると、憂うつ感やイライラ、頭痛など急性のストレス反応が起こってきます。これは誰もが経験したことがある一般的な症状です。
心理的ストレス反応に関する尺度は、ネガティブな感情を測定する尺度(緊張-不安、怒り、疲労、抑うつ)とポジティブな感情を測定する尺度(活気)からなり、項目数は合計18項目(項目No. 1~18)です。
身体的ストレス反応(身体愁訴)に関する尺度は一つで項目数は11項目(項目No.19~29)です。


ストレスチェック項目の中でも最も重要な項目になりますし、1番先に見る要素になります。
これらのストレス要因(ストレッサー)に長期間さらされることにより、心身症やうつ病、適応障害などに罹患することがあります。
この項目では、ストレス要因によって心と身体がどのような反応をきたしているのかを見ます。
ストレスチェックのストレス反応の領域は、心理的ストレス反応と身体的ストレス反応が測定できるようになっています。
6つのは、身体的ストレス反応を除けば、この順番で発生することもチェックしておきましょう。もちろん抑うつ感の高い社員は要注意です!
ストレスチェック項目から3つ目の領域:ストレス緩和要因→将来を見る
同僚のサポート、上司のサポート、家族のサポートなど、ストレスをやわらげる働きをする社会的な支援のことを緩衝要因といいます。
この項目では、同僚や上司、家族などからどのくらいサポートを得られているかを判断できます。サポートが多く得られる職場はサポートが少ない職場に比べるとストレスに強い職場だといえます。

緩衝要因、すなわちストレス緩和要因は、上司、同僚、家族・友人による職場と家庭での支援(項目No. 1~9)を入れた9項目。および職場と家庭に対する満足度の2項目(項目No. 1~2)があります。

ストレスチェック最後の領域では、その社員や部署の未来を占っているといえるでしょう。もし仕事の量的負荷があったとしてもこの領域や項目での点数が低ければ、すぐに対応する必要はないでしょう。
ストレスチェック項目:被験者の作為を防ぐ工夫がある
ストレスチェックの項目には、ストレスチェックを受ける人が作為的な解答をしてもわかるように工夫されています。
1つ目は仕事のストレス要因に関する項目です。
No. 8、9、10、14、16、17 の項目とストレス反応項目の No. 1、2、3 の項目は、その他の項目と反対の回答を選んだ場合スコアが良くなる設問に設定工夫されているのです。
これは被験者に回答パターンを悟られないためです。
もう一つの工夫は回答欄にあります。回答は4つにしてあり、当たり障りのない平均的な回答ができないようになっています。
このようにストレスチェックは、1万人以上で実証されたポイントさえ掴めば、人事にとってかなりの武器になります。とくに個別対応で用いることよりも、人事は部署単位での比較でラインケアマネジメントの一環で使用し、部長とともに生産性の高い組織にすることが可能です。
