健康管理システムを賢く選ぶ
2022年3月3日 更新 / 2020年5月25日 公開

コロナ時代、なぜ健康情報のデジタル化を人事が進めるべきか?

健康情報のデジタル化をはじめる理由

5月14日、経団連は「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を発表しています。経営者または人事総務である方は、すでにお読みになったでしょう。

今日はこのガイドラインを読み解きながら、これからの人事のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は何からはじめるべきなのか?デジタル化を進める上で注意すべきポイントはどこなのかを解説していきます。

健康管理が重要になる3つの理由

まず知っておくべきは、人事が抱える様々な業務の中でも「従業員の健康に関わる労務管理」がコロナ時代においてもっとも優先度の高い業務になったことです。

コロナ時代における健康管理は、コロナ以前とはどのように変わるのでしょうか?次のような3つの変化が訪れます。

  1. オフィスの衛生環境の改善
  2. テレワーク・在宅勤務の拡大
  3. 労務の業務負担が増加

ひとつひとつ見ていきましょう。

理由1:オフィスの衛生環境の改善

まずオフィスにおける働き方が変わります。具体的にどのような点を改善するべきなのかを、経団連のガイドラインから抜粋し、具体的な実務に落としこんで解説します。

衛生体制の整備

  • 衛生委員会に経営陣が参加する
  • 衛生委員会の開催頻度を、2週間に一度へ引き上げる
  • 産業医と定期的に連絡・情報共有する

まずは体制の整備からです。従業員が50人以上のオフィス(労働安全衛生法上の事業場)においては、オフィスの衛生環境を改善するために衛生委員会が設置されています。衛生委員会では、使用者と労働者そして産業医が参加し定期的(月に1回)に情報の共有と議論の審議がおこなわれます。

感染症対策ではスピーディな意思決定が必要なため、衛生委員会には経営陣が参加してください。また通常よりも開催頻度を引き上げ、2週に一度の定期的な会議にすることをおすすめします。

勤務中の社内環境

  • 対面するデスクの間に透明なビニールカーテンの設置
  • 手指消毒液の設置と、使用量の確認
  • 1時間に2回以上の換気
  • 会議室の椅子を減らす、印をつけて位置を固定する

次に出勤した場合の環境です。人と人との配置を2メートル空けることが求められていますが、実際のオフィスで実現することは難しいでしょう。そこでコンビニやスーパーで行われているような、対面する位置でのビニールカーテンの設置がおすすめです。

また、手指消毒液を室内の換気の実施についてはちゃんと実施されているかについて記録をとってください。万が一、社内で感染者が発生した場合に会社として十分な感染症対策をとっていたかどうかを証明することになります。

従業員への衛生教育

  • 出勤前の検温や味覚・嗅覚障害といった症状の確認
  • 商談相手や取引先へも接触時に上記を確認する
  • 顔をさわらないようマスクの着用や咳エチケット
  • 体調不良の従業員には休暇制度の取得を奨励する

そして従業員への教育を一層強化してください。出勤前の検温や自覚症状の確認については、可能な範囲で管理監督者への報告や結果の管理を実施してください。また、コロナウイルスによる症状でなくとも体調不良の従業員は出社しないよう、休暇制度の整備や取得をすすめることも徹底します。

本章では、経団連のガイドラインを具体策に落とし込んで解説しました。

上記に挙げた対策は、新型コロナウイルスに限った話ではなく企業の感染症対策として日常的に意識すべき労務管理です。そしてこれらの対策に加えてテレワーク・在宅勤務が推奨されており、大手企業を中心にテレワーク制度が正式導入されてきています。

お役立ち資料"健康情報のデジタル化に、失敗する理由と成功した事例"をダウンロードする
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理由2:テレワーク・在宅勤務の拡大

日本におけるテレワーク制度は1997年の実証実験からはじまり20年以上も取り組まれてきました。テレワーク導入の目的は、いわゆる働き方改革の一環として労働生産性の向上や長時間労働の削減が掲げられています。

アメリカのテレワーク背景
テレワークの日米比較。
アメリカでは環境への配慮から導入が進んだ。
日本のテレワーク背景
日本では、日本政府主導で進めるが
本格的な普及にはいたってない。

そして今回の感染症対策をきっかけにテレワーク制度を正式に導入する企業が増えてきました。短期的なテレワークだけでなく、長期型の在宅勤務者の雇用やサテライトオフィスでの勤務やフレックスタイム制を導入することで、混雑する通勤電車の利用回数を減らしたりオフィスでの接触を減らすことが目的です。

このような柔軟な働き方が導入する際に、労務管理として留意すべきが健康管理です。つまり、従業員の健康管理をこれまでよりも徹底する必要があります。

「健康管理の厳格化」は、働き方改革に関連する法改正によってすでに施行されています。

柔軟な働き方を奨励する一方で、企業が従業員の健康を管理するための新たな義務がいくつか制定されています。

特にテレワークや在宅勤務においては、長時間労働が発生しやすくメンタル不調者を見逃すリスクも高まるため、単に勤怠をつけるだけでなくもう一歩踏み込んだ健康障害の予防策が必要になります。

オンラインで産業医面談できますか?

テレワーク時における健康管理では、労働安全衛生法で求められている健康管理のための措置を適切に実施します。具体的には3つの措置です。

  • 健康診断の事後措置(労働安全衛生法第66条〜第66条の7)
  • 長時間労働者への産業医面談(同法第66条の8および9)
  • ストレスチェックの事後措置(同法第66条の10)

これらの措置を適切に実施するには、産業医による面接指導や産業医への情報提供が欠かせません。しかし、オフィス勤務ではない従業員に対してあなたの会社では産業医面談を実施できるでしょうか?

もしWEB会議システムを利用してオンラインで産業医とつないだとしても、従業員の健康情報がアナログ管理であれば適切な面談はできません。健康診断の結果は会社のキャビネットに保管していたり、ストレスチェックの結果は社外持ち出しができない自社サーバーに保存されていたら、外部の産業医とスムーズに情報共有することは困難です。

テレワーク・在宅勤務を導入するにあたって、従業員の健康情報をデジタル化は法令遵守として進めなければならないのです。

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理由3:労務の業務負担が増加

人事のDX(デジタルトランスフォーメーション)は上手にすすめることで、業務工数を削減し人件費や残業代の縮小につながります。

健康管理はいまだに紙やエクセルでのアナログ管理が主流になっているため、健康情報をデジタル化することで大きな業務効率化がのぞめます。一方で、下手にデジタル化することで逆に工数が増えてしまったり、法改正に対応できず知らずしらずのうちに法令違反になってしまうことがあります。

そこで健康情報のデジタル化を解決する方法が、健康管理システムの導入です。

上場企業の75%が導入に前向きな健康管理システム

2020年度健康経営度調査によると、健康管理システムを「すでに導入している」「導入を検討している」と答えた企業は2,004社のうち75%を占めます。

健康経営度調査では、東証一部上場企業を中心に健康投資の可視化が取り組まれている。

従来型の健康管理システムは、導入企業ごとにカスタマイズして納品されるオンプレミスなシステムが主流です。自社の業務フローに合わせたシステムが利用できるメリットがありますが、導入費用や法改正に伴うアップデートに都度開発費用が発生するため、資金に余裕がある大手企業しか利用できませんでした。

しかし、導入費用が手軽なクラウド型の登場により中小企業でも健康管理システムを導入し、健康情報のデジタル化に成功する例が増えてきました。

クラウド型健康管理システムのメリットは導入費用だけではありません。たとえば・・・

  • 健康管理の法定業務全般に対応している(健康診断だけではない)
  • 専門知識がなくてもハイリスク者が自動抽出される
  • 記録やデータの紛失・漏洩リスクが激減する
  • 法改正への対応・システムのアップデートが早い
  • 引継ぎが楽になり衛生管理の属人化が防げる
  • 本社以外の支社や自宅から安全なセキュリティで情報を扱える

健康情報のデジタル化は、専門的な業務知識が必要になります。また健康情報は要配慮個人情報であるため、一般的な人事情報よりも高いセキュリティで安全性を守る必要があります。

内製化や既存の社内システムではどうしても対応できず、結果的に業務工数が増えてしまったという失敗例もあります。従業員の健康管に関わる労務管理をデジタル化することはコロナ時代において今すぐにでも解決すべき課題ですので、クラウド型健康管理システムを利用してみてはいかがでしょうか。

健康管理のDXに失敗する理由と成功事例

もしあなたが、健康情報のデジタル化に興味があり、健康管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいらっしゃる担当者の方であれば、おすすめしたいお役立ち資料があります。

健康管理のデジタル化
成長著しいITベンチャーから上場企業まで約250社の健康管理DXをコンサルティングしてきた、実例に基づく企業レポート

この資料では、健康情報をデジタル化することで人事部門の業務工数削減と従業員の健康増進に成功した事例とそのノウハウを解説しています。以下のことを学ぶことができます。

  1. なぜ、人事労務は健康情報のデジタル化が進まないのか?
  2. アナログ型の健康管理では法令遵守できない理由
  3. 業務工数を削減した企業の取組事例
  4. 安全な健康管理システムの選び方

無料で配布しておりますので、ぜひ一度ダウンロードしてお読みください。

執筆・監修

  • 小川 剛史
    この記事を書いた人
    小川 剛史
    1986年広島県生まれ。
    大学在学時から幅広い業種のデジタルマーケティングを手がける。(小売・食品・金融・医療etc)
    現職では、企業の健康管理・健康経営についての情報発信を続けており、オンライン記事では月間12万人、ダウンロード資料は延べ2万社が閲覧している。