過重労働時間の計算式わかっていますか?時間外労働の上限規制との関係

人事・労務担当者がよく頭を悩ます問題が、労働者の働く時間の取り扱いです。たとえば給与計算などに利用する所定労働時間と、従業員の健康管理で利用する法定労働時間の違いは一度学んだだけでは理解しづらいもの。
それでは過重労働における残業時間ってどうやって計算したらいいのでしょうか?
働き方改革関連法によって労務管理の義務が増えた過重労働対策。時間外労働に関する上限規制との関係や計算方法を理解しておけば、労働時間に問題はないのかすみやかに確認できます。
今回は過重労働とは具体的にどのような状況を指すのか、また、確認するための計算方法をお伝えします。労働者がより快適に働く環境を作るため、ぜひ役立ててください。
そもそも過重労働とは
まず「過重労働」とはどのような労働を指すのか理解します。 過重労働とは、残業・休日出勤などの時間外労働時間が長く、労働者に身体的・精神的に過度な負担のある状態です。
長い期間にわたる疲労・ストレスの蓄積は、脳や心臓の疾患、精神疾病を招くリスクがあり、大変危険。この過重労働が原因で発症したことによる病死や自死は、一般的に過労死と呼ばれます。
ここ数年、有名企業で立て続けに過労死に該当する案件が表面化し、社会的にも問題視され、企業はこの状況を看過するわけにはいきません。
過重労働として問題になるのは、原則として、法定労働時間・法定休憩時間・法定休日を超える部分です。労働基準法では、法定労働時間・法定休憩時間・法定休日は以下のように定められています。
- 労働時間/休憩時間を除いて1日8時間以内1週間40時間以内(10人未満規模のサービス業・医療などの一部業種は44時間以内)
- 休憩時間/労働時間6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上
- 休日/毎週1日以上、または、4週トータルで4日以上
過重労働時間かどうかを確認する計算とは
2019年4月1日より時間外労働の上限規制が設けられ、以下の上限を超えると過重労働になります。これは、たとえ特別の事情があり、臨時的に労使間で合意がある場合でも該当しますので、注意してください。
- 時間外労働は年間720時間以内
- 時間外労働と休日労働は月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内
- 原則である月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月まで
例えば、1日8時間労働で月間20日営業の場合、1ヶ月の労働時間は160時間、それ以降は残業・時間外になり、超えた分を足して規定の範囲内であれば法律上問題ありません。
過重労働を避けるためには、把握する計算式が重要です。7日間=1週間、1週間で40時間以内が労働時間上限のため、以下のように計算します。
過重労働時間の算出方法
過重労働時間=1ヶ月の総労働時間(所定労働時間+残業時間+休日労働時間)−(計算月の総暦日数/7×40)
この計算式で過重労働時間を確認し、過重労働に当たるかどうか把握します。
過重労働は仕事による負荷を大きくするだけでなく、メンタル不調に陥る可能性が高まります。過重労働者を抽出するだけではなく、メンタル不調になる前に予防することが重要です。以下にて労務管理の観点から正しい法的対応を実務に沿って解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
時間外や休日労働時間が80hを超えると医師との面談が必要になる
長時間労働によって疲労が蓄積し、脳・心臓疾患の発症原因になることを予防するため、長時間労働者に対して、事業者は医師との面談指導を行うことが義務付けられています。この場合、担当した医師は勤務状況・疲労の蓄積状況を把握し、精神面もチェックして必要な指導を行います。
対象となるのは、時間外労働・休日労働が月に80時間を超え疲労の蓄積が認められる者です。この対象の労働者からの申し出により面接指導を実施します。
80時間は法律上の義務対象ですので、職場で定められた基準がある場合、その基準に該当すれば対象になります。
過重労働を理解し従業員の心身の健康管理を行う
過重労働は身体的・精神的に労働者に負担の大きい労働のことです。2019年4月1日の法改正で時間外労働の上限規制が設けられ、これを超えると過重労働となりました。
過重労働時間は「1ヶ月の総労働時間−(計算月の総暦日数/7×40)」で求めます。
また、月に80時間を超える時間外・休日労働は、医師の面談が必要になる場合もあるので、この時間数を意識してください。
従業員が心身ともに健康な状態で働き続けられるよう、労働時間に関して適切な労務管理を行いましょう。
Carelyでは過重労働者を抽出・アラートを出すだけにとどまらず、ストレスチェック・健康診断結果や産業医面談記録を総合的に見ることで、従業員の心身の健康管理を行うことができます。また、個人のメンタル不調を把握するだけでなく、部署や拠点単位での傾向を分析することも可能です。詳しくは以下よりお問い合わせください。