人事は見ても良いのかダメなのか?健康情報管理に立ちはだかる3つの課題

働くひとの健康では、多くの機微な健康情報、人事情報、個人情報が飛び交います。その中で、健康情報管理をどのようにしていけばよいのか、起こりやすい失敗から学んでいきましょう。
健康情報管理で人事労務が直面する問題とは?
社内にある健康情報は、様々な人が関わったり、法律上の業務があるために煩雑で複雑となります。情報がばらばらにあったり、保管方法や情報共有範囲を間違えたら大変です。
2019年4月から労働安全衛生法や労働安全衛生規則の改定があり、健康情報管理をより厳格に行うよう明記されています。
そのような中で健康情報管理で人事労務が直面する問題3つあげました。
- 労働者の診断書は個人情報だから見ずに対応
- 産業医の面談記録を別の方にメール
- 産業医面談の準備のために健康情報を収集
最初に、人事労務が業務上関わる健康情報を整理してみましょう。
人事情報 | 健康情報・個人情報 | |
---|---|---|
産業医面談記録 | 就労可否、就労状況 | プライベートに関する詳細な情報 |
カウンセラー面談記録 | ※原則なし | プライベートに関する詳細な情報 |
休職復職の診断書 | 診断名・原因・就労上の配慮 | プライベートに関する詳細な情報 |
職場巡視記録 | 職場の環境、安全に関する情報 | ※原則なし |
衛生委員会議事録 | 職場環境改善の情報 | ※原則なし |
健康診断結果 | 法定健康診断 | 法定外健康診断 |
ストレスチェック結果 | 結果の同意あれば人事情報 | 特定の人のみ結果閲覧可能 |
労働時間結果 | 勤怠結果 | ※原則なし |
感染症情報 | 他者に感染しうる、業務に関係する感染症情報 | 業務と無関係の感染症情報、家族の感染状況 |
これらを見てみると複雑に絡み合っていることがわかるかと思います。
2019年4月からの法改正では、労働安全衛生法第104条を新設し
(心身の状態に関する情報の取り扱い)
第百四条
事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
2 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
より厳格に事業者側の責任を求める内容となっています。
それでは人事労務が直面する健康情報管理に関する失敗あるあるを具体的に見ていきましょう。
問題その1:労働者の診断書は個人情報だから見ずに対応
労働者は、様々なタイミングで人事労務及び管理監督者(上長)に診断書をもってきます。
不調な場合や休職復職時といった労働者に対して業務上の配慮が必要な場合が多いでしょう。
但し、診断書は一見すると健康情報や個人情報と類似している内容のものが記載されているため、これらを見ずに産業医へそのまま渡したり、見てはいけないのではないかと思われる人事労務の方がいます。結果的に、労働者への就業上の配慮を行えなかったり、行うタイミングが遅くなっていまったり、人事労務の負担だけが強くなったりと良くないことだらけになります。
この状態を打破するには、1つの大切な概念が必要です。
それは、「限定(クローズド)されたメンバーが明確な理由の中で健康情報へリーチしなければならない」というものです。
ポイントは、(1)明確な理由、(2)限定となります。
例えば、労働者の診断書では、
(1)明確な理由:就労状況を把握し、必要であれば就業上の配慮を行い、状況を悪化させない
(2)限定:産業医、産業保健師、カウンセラー、人事労務、管理監督者
となります。
従って、労働者の診断書は、診断名等が記載あったとしても就業上の配慮のために人事労務は、内容をしっかりと把握し、様々なひとを巻き込んで対応していく必要があります。
そういう意味では、人事情報に関しては人事労務と産業医で共有し、健康情報や個人情報は産業医と保健師、カウンセラー内で共有出来る仕組みがあればバッチリです。
問題その2:産業医の面談記録を別の方にメール
人事労務は様々な方と人事情報、場合によっては健康情報や個人情報を共有し、労働者と組織の健康を維持、損なうことを防がないといけません。
産業医の面談を実施することは、労働者の健康状態を把握し、就労可否を専門的な意見を聞いて、人事労務が決定しているわけです。
そうなれば面談記録を当然共有する必要が出てくるのですが、これがやっかいなのです。大企業であれば労働者の健康情報をひとつにした太い紙カルテのようなものがあり、そこに新しく記入していくという手順になります。
メールやMicrosoft Word、Excelで管理している企業は、産業医の面談や人事からの情報をこれら手段を使って共有をしています。
作成されたものをPDFに変換して、パスワードつけてメール共有ということも珍しくありません。また多くの産業医の先生は自分のパソコンで作成しているため、これらの情報がそのまま「会社ではなく個人の私物」内に保管されている状況となるわけです。これでは危険です。
そして決定的なのが、メールで共有する際のミスです。
今ではメール機能が発達し、最初の2−3文字入力するだけで共有先のレコメンドが表示され、うっかりEnterを押してしまったら別の会社の別の人だったなんてことありうるわけです。
そう考えると重要な情報を共有しなければならないが、共有すること自体が大変で緊張するという状況が発生するわけです。
問題その3:産業医面談の準備のために健康情報を収集
前述したように労働安全衛生法では、健康情報を収集して適切に使用しなさいとなっています。
労働者の健康状態を評価するには、1つだけの判断軸では不十分になる可能性があるからです。
そう考えると人事労務は、忙しい合間に月1回や週1回の産業医面談時用にひとりの労働者に対して、面談の目的が何であれ、人事情報、健康診断結果、ストレスチェック結果、労働時間結果、過去の面談結果、過去の診断書類といったものを収集して準備をしていおかないといけません。
ただでさえこれらの情報は、機微で人事労務としては取り扱いにくいにもかかわらず、情報が散乱、分散していることで大変な負担が発生することは容易に想像が出来ます。
多くの企業では、この健康情報を活用して組織アプローチがほとんど出来ていません。人事労務が忙しかったり、知識が不十分だったりするからです。
企業の健康管理は、原則的には組織的アプローチの方が、効率性が良く効果も高いという研究もある。そう考えれば、これらの健康情報を活用出来る土壌は早急に作り、ルーティン業務をアウトソーシングして健康情報データを分析して、改善できるような企画を立案していく時代になっています。
健康情報管理のことで困らないCarelyの特徴とは?
これまで見てきたように、健康情報を企業内でどのように取り扱い、決められた仕組みの中で効率的に共有していくのかは多くの人事労務が直面する問題となります。
こういった問題をITで解決するのがCarelyなのです。
Carelyは、健康管理を行うHRTech です。人事労務の抱える煩雑で複雑な健康管理業務を簡単に出来ます。
クラウドサービスだけではなく、人事労務の仕事を請け負ったり、産業医や保健師を紹介することも行っています。Carelyは人事労務の健康管理業務をシステム、しごと、ひとの3つで効率化しているサービスです。
1.Carelyは面談に必要な情報を瞬時に引き出せる
産業医や人事労務の面談のたびに過去の面談記録やストレスチェック結果、健康診断結果、労働時間結果、診断書などをいちいち引っ張り出して来る必要はありません。
Carelyにログインしてそのまま面談前に過去分を確認したり、画面表示をしておけば結果を見ながら面談を実施することが可能です。必要な情報を必要なタイミングで引き出せます。




2.Carelyで正確に、ミスなく安心して情報共有
人事労務と産業医で共有したい人事情報と専門家だけに共有をとどめておきたい健康情報・個人情報を分類して記載、保管することが出来ます。
Carelyでは、面談の共有が1名あたり5分短縮する驚異的なサービスとなります。もし1日20名の労働者の面談を専門家や人事労務が行う場合、1日100分相当となります。
この時間は、従業員と向き合う時間や企画のための時間に使いたいところです。

3.Carelyで誰がいつ誰に何をしたのかを共有
健康管理業務は様々な人が関わっていることが特徴の1つです。
そのため誰が何をしたのかがよくわからなくなります。
そこでCarelyではSNSのタイムラインと同様の機能を搭載することで、「誰がいつ誰に何をしたのか」がひと目でわかるようになっています。

最後に
個人情報漏洩や情報管理に対する社会的かつ政策的に重要な時代にますます突入しています。
そのような中においても健康管理業務をより効率的に実施しなければいけません。そのためには、ITやクラウドサービスを利用して人事労務の煩雑で複雑な健康情報の管理をするのが得策と言えます。
この機会に健康情報をイチから見直して、ペーパーレスかつ圧倒的な効率で、リスクも最小化する健康管理システム『Carely」を是非ご検討下さい。