質問)会社の健康管理を徹底するために、健診担当者のマネージャークラスが最低限知っておくべきこととは?

回答)法令順守を徹底する意味でも、「健康診断の業務負荷」や「業務効率化につながる施策」について知っておくことが重要です。
健康診断の業務が、
- 健診クリニックへの受診予約
- 健康診断の実施や支払い
のみだと思っていたり、業務負荷がイメージしづらかったりする人事・総務部のマネージャークラスも多いのではないでしょうか。
その理由は、健康診断が「個人情報」を扱うため、「データを扱える担当者」が限定されているからです。つまり、そもそも健康診断の詳細な業務内容を見る機会がなく、イメージしづらいのです。
とはいえ、健康診断の業務が上手く進められず、法令順守ができないといった事態は避けたいところです。
そこで、特に業務負荷が高くなる
- 健康診断の予約
- 健康診断実施後の事後措置
に分けて、それぞれどのような業務をやっているのか、そしてどういった解決策があるのかご紹介します。
健康診断の予約業務の業務負荷・改善施策とは?
健康診断の予約業務はどのぐらい大変なものなの?
健康診断の予約には、主に以下の7つの業務があります。
健康診断の予約で行う7つの業務
- 健康診断を、いつからいつまでに受けるか決める
- 健康保険組合の補助申請の条件を確認する
- 健診クリニック・コースを一覧化する
- 従業員への希望調査を行う
- 健康診断を予約する
- 受診日のリマインドを行い、健康診断の受診忘れを防止する
- 受診を忘れた従業員がいた場合、健診クリニックを再度予約する
1,2,3は例年通りであれば、特に変更がないかもしれません。しかし感染対策やテレワークの導入による影響で、自宅近くの健診クリニックを再選定する必要などがでてくることも。
その結果、健診クリニックが補助申請の条件に合致するか確認したり、例年の健診クリニックのコースとの違いを確認したりと、新たな業務が発生します。
4以降は、以下の業務を従業員ごとに行う流れとなります。
- メールで受診希望を確認し、Excelなどで管理シートを作成する
- 健診クリニックへ電話やFAXなどで予約し、管理シートを更新する
- 受診希望日の1週間前や3日前などで、リマインドのためメールを送る
- 受診し忘れの従業員がいたら、1から再度予約業務を進める
これらの業務は負荷が高く、1人あたり30分以上かかってしまうことも。仮に従業員数が500人だった場合は、1ヵ月まるまるかかってしまう計算です。
健康診断の予約業務を効率化する方法は?
「予約業務が忙しい時期だけ、担当者を増やして対応すれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、個人情報を扱うため社内の担当者を増やすこともできません。
健康診断の予約業務を効率化する方法は、主に次の2つ。
健康診断の予約業務を効率化する2つの方法
- 健康診断の予約代行サービスを導入する
- 健康診断の予約業務を効率化するシステムを導入する
上記を社内に導入するには「稟議」を通す必要がありますが、「個人情報の保護により業務負荷がイメージしづらく、承認がおりづらい」という現実が待っています。
労働安全衛生法第66条で「1年に1度の定期健康診断の実施」が定められている以上、従業員数が増えたことで間に合わなくなるリスクは避けたいところです。
そして、健康診断受診後の業務(事後措置)も業務負荷がとても高いです。特に産業医は時給が高いため、業務効率化できていないと高額な費用がかかっている可能性もあります。
詳しく見ていきましょう。
健康診断受診後の業務(事後措置)の業務負荷・改善施策とは?
事後措置はどのぐらい大変なものなの?
健康診断受診後の業務(事後措置)の流れは、以下の5つ。
健康診断実施後の事後措置の流れ
- 【産業医】健康診断の結果を確認し、有所見者を確認する
- 【産業医】健康診断、ストレスチェック、労働時間を考慮してハイリスク者を選出
- 【産業医】ハイリスク者に面談などを行い、健康に働ける状態があるか確認
- 【事業者】産業医に意見聴取を行い、ハイリスク者の現状を確認する
- 【事業者】安全衛生委員会を立ち上げて、ハイリスク者への対応(配置転換、残業制限など)を審議し、労使間合意の上措置を決める
まず、従業員ごとに健康診断の結果を確認しますが、健康診断の結果に記載されている判定区分(A1:異常なし,G1:要再検査など)だけを見ているわけではありません。
健診クリニックによって「判定区分」や「判定基準」が異なるため、検査項目ごとに数値を確認しています。
さらに、健康診断の結果だけでなく、
- ストレスチェックの結果
- 長時間労働の有無
などを従業員ごとに確認し、健康上のリスクが高い人(ハイリスク者)を選定しなければなりません。
これらの、
- 情報集め
- 整理
- ハイリスク者の選定
を行うまでの業務はとても多く、時間も負荷もかかります。
ここまで実施して、初めて産業医面談に進みます。産業医は時給が高いため、健康診断の結果を1枚ずつ確認するようなところからしていては、費用対効果が高いとは言えません。
これに加えて「労働安全衛生規則第51条の2」では、健康診断の実施から3ヵ月以内に、企業の担当者から医師(産業医)への意見聴取が義務付けられています。
つまり、今までご説明した「産業医が行う業務をすべて終えたうえで、健診担当者から意見聴取をするまでの期日が3ヵ月」というわけです。そのため、業務効率化が必須となります。
事後措置を効率化する方法は?
事後措置の業務効率化に役立つのが、「健康診断のペーパレス化」です。ペーパレス化を実現すると、健康診断の結果を紙ではなくデータで受け取ることが可能です。
さらに健康管理システム『Carely』を利用した場合は、受け取ったデータをもとに自動でハイリスク者を選出することもできます。

産業医はハイリスク者の詳細なデータを確認するだけですむため、産業医面談までにかかる業務負荷を抑えることが可能です。
とはいえペーパレス化もシステム導入となるため、「稟議」を通す必要があります。また稟議を通そうにも、「健康診断の受診は終わってるのに、業務効率化を今進める必要があるのか?」と上層部に言われてしまい、導入できない現実があります。
産業医の業務負荷を抑えることができれば、その分でペーパレス化を実現できる可能性もあります。ダウンロード資料を用意しておりますので、以下からダウンロードのうえ、社内の共有用にご活用ください。