「定期健康診断結果報告書の有所見者」はこれだ!

健診センターからの健康診断結果一覧には、A〜Dの文字が記載されていますが、定期健康診断結果報告書の記載は、人事総務がしていることがあります。
その場合、この有所見者で悩まれる人事総務は多いのではないでしょうか?
そんな人事総務の担当者のために、今回は定期健康診断結果報告書の有所見者の考え方についてお教えします!
定期健康診断の有所見者率は、54.1%!
平成29年定期健康診断有所見率は54.1%まで毎年上昇傾向にあります。
最も多い項目が血中脂質32.0%、次が血圧15.7%、肝機能15.2%、血糖11.4%と続きます

定期健康診断を行った場合には、遅滞なく定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない(労働安全衛生規則第52条)とされています。
定期健康診断結果報告書の有所見報告項目は「13」ある!
その中で平成22年3月25日に通知された厚生労働省局長の「定期健康診断有所見率の改善のための取組」で記載されている有所見率とは、“健康診断を受診した労働者のうち異常の所見のあるものの占める割合”となっています。
「労働者の健康診断結果の異常の所見」というのが、決まっていればわかりやすいのですが、定義や指針が決められていません。
労働安全衛生法第66条4項「健康診断の結果=異常の所見があると診断された労働者について医師から意見を聴く」との記載から、異常所見は医師の判断でよいとされています。
異常所見の定義を産業医や医師に聞いて、それをもって有所見にすればよいということになります。
定期健康診断結果報告書の有所見者の妥当性
一般的な解釈からすれば、異常があるかないかは基準範囲を外れているか否かで決定します。
平成20年から実施されている特定健康診査では、判定項目とともに事後対応のための判定基準が示されましたが、定期健康診断では「基準範囲が決められていない」ので、総合的なリスクや、学会が推奨するガイドラインを参考にして、それぞれの事業場や検査医療機関に委ねているのです。
そこでやっておかなければならない社内ルールとして「誰が」事業主側でその「異常」を定めるのかという問題です。
多くのケースでは事業内でそれが出来るのは、「医師である産業医もしくは保健師」が妥当であろうと考えられます。
その産業医が、学会の指定する基準値を採用するのか、それとも他のものを異常と考えるのかということとなります。
定期健康診断結果報告書の有所見者はどうしたらよいんだ!?
産業医や保健師に任せなさいと書きましたが、そうもいかない人事総務も多くいらっしゃいます。
そこで実状をお話して、御社にとってシンプルに有所見者を定義してしまうことが業務的に最も楽です。
実は、産業医が健診機関から報告された判定区分をどのように活かしているかという平成24年度山口産業保健推進センターのアンケート調査があります。素晴らしい調査です。
結果、有所見の判定区分としてほとんどの産業医が要治療や要精密検査を含めていたことがわかっています。

アンケート調査は、複数回答ができるものの、おおよそ50%強の産業医の先生が「要精密検査」以上、つまり D 判定の社員を有所見と考えていることがわかります。
注意) 健康保険組合によっては、4 段階に分けているところもありますので、注意してください!
判定区分で言えば、CとDの間で線引きをしていることになります。
「治療中」もしくは F 判定の場合を含めるかどうかは、40% 強の産業医の先生が含めていることから、有所見者の定義として無難に考えるのであれば、“ D 判定と E 判定”の合算社員数と言えます。
有所見判定は、検査機関の判定基準に沿って行っているのが 51%、独自に判定しているのが 20%、産業医が関わっていないは 26%という報告がされています。