健康診断の効率化
2022年7月25日 更新 / 2021年5月24日 公開

健康診断の予約を効率的に内製化する方法とは?6つの業務に分けて解説

健康診断の予約を効率的に内製化する方法とは?6つの業務に分けて解説

健康診断の予約は、

  • 健康保険組合の補助対象となる条件の確認
  • 従業員の受診希望調査
  • 健診クリニックへの予約
  • 受診希望が合わなかった場合の再調整

など業務が多く、1人あたり30分以上かかります。

これに加えて、感染対策やテレワークなどの影響で、新たに健診クリニックを選定する業務が増える可能性も。実際のところ、健康診断の予約業務にいつもより負荷がかかっている方も多いのではないでしょうか。

このときまず考えるのが、「社内で業務効率化を進めて対処できないか」といった点です。

そこで今回は、「社内で健康診断の予約業務を効率化する方法」をご紹介します。健康診断の予約業務に分けてそれぞれ解説しているので、ぜひ最後までご一読ください。

健康診断の予約業務を効率的に内製化する方法とは?業務に分けて解説!

健康診断の予約業務は、「健診クリニックに電話やFAXなどで予約するだけ」ではありません。以下のように、さまざまな業務があります。

  1. 健康診断の受診時期を決定する
  2. 健康保険組合を確認する
  3. 従業員への受診希望調査
  4. 健診クリニックの予約
  5. 従業員希望・健診クリニックとの再調整
  6. 従業員ごとに補助金を整理

それぞれの業務に分けて、業務効率化する方法を見ていきましょう。

【業務1】健康診断の受診時期を決定する

健康診断の予約業務を行う時期は、健康診断を受診する時期から逆算して決まります。とはいえ、特に問題がなければ例年と同じ時期に実施するのが一般的でしょう。

しかし感染対策やテレワークの導入などにより、例年の健診クリニック以外を選定する必要が出て来ることも。これにより、受診時期が変わる可能性もあります。

とはいえ労働安全衛生法第66条で「1年に1度の定期健康診断の受診」が定められているため、時期を遅れせるわけにもいきません。

効率的に予約業務の負荷がかかりにくい健診クリニックを選定するなら、以下の4つのポイントを押さえておくと良いでしょう。

健診クリニック選定、4つのポイント

  1. 健康保険組合が指定している健診クリニックか
  2. 健診クリニックの予約方法はやりとりしやすいか
  3. 健診クリニックからのレスポンスは早いか
  4. 健診結果は紙またはデータのどちらで送ってもらえるか

詳細については、以下をご一読ください。

健康診断の予約時期が決まったら、予約の準備を進めていきます。続いて、健康保険組合を確認する流れについて見ていきましょう。

【業務2】健康保険組合を確認する

会社として健康診断の管理をする上では、補助金についても整理しておくことが重要です。健康診断の補助金は、主に次の2つがあります。

健康診断の補助金の例

  1. 健康保険組合から出る補助金
  2. 会社の福利厚生として出す補助金

まずは、健康保険組合で補助対象となる条件を確認しておきましょう。ここで見ておきたいポイントが、「健康保険組合が指定しているクリニック」です。

「健康保険組合が指定している健診クリニック」と「健康保険組合が指定していない健診クリニック」では、以下のように業務にかかる負荷が大きく変わります。

健診クリニックによる補助申請業務の負荷の違い

  • 健康保険組合が指定している健診クリニック
    →健診クリニックが直接健康保険組合とやりとりし、結果のみ報告
  • 健康保険組合の指定外の健診クリニック
    →従業員ごとにFAXなどで別途申請が必要

受診する健診クリニックを選定するなら、上記を参考に一覧化するのがおすすめです。

また業務効率化とは少し変わりますが、会社の福利厚生として補助金を定めるのも1つの手でしょう。

特に

  • オプション検査(胃カメラ、婦人科検診など)
  • 人間ドック

は高額な受診費用がかりますが、法定項目ではないため個人負担で受ける形となります。

そのためお金に余裕があり、健康に気を遣える人でないと受診して貰えない可能性も。健康上のリスクが高まるのを回避する意味でも、会社の福利厚生として受診費用の一部負担をするのがおすすめです。

まとめると、従業員ごとにエクセルなど整理しておくことをおすすめします。

  • 健康保険組合の補助対象となる健診クリニックやコース
  • 会社の福利厚生として出す補助対象の条件

【業務3】従業員への受診希望調査

健診クリニックやコースの候補の洗い出しが終わると、従業員への受診希望調査を行います。

このとき、「部署ごとに従業員の受診希望を取りまとめる形」を取ってしまうと、「本部⇔部署⇔従業員」のやり取りが発生して時間がかかります。またメールで受診希望を聞いてしまうと、集計に時間がかかります。

解決策として、「従業員が直接受診希望日を選び、選んだ希望が自動で整理される仕組み」を利用するのがおすすめです。

実はアンケートが作れるGoogle社のサービス「Googleフォーム」を利用すれば、アンケートの作成や自動集計が可能です。具体的に言うと、以下のようにアンケート結果を自動でデータ集計できます。

他にも、従業員ごとに予約を管理するコツはいろいろあります。詳細については、以下をご一読ください。

従業員への受診希望調査が終わったら、健診クリニックを予約していきます。詳しく見ていきましょう。

【業務4】健診クリニックの予約

健診クリニックの予約は、予約方法によって業務負荷が大きく変わります。

予約をスムーズに進めやすいのは、メールでの予約です。他の予約方法とあわせて、特徴を見てみましょう。

予約方法

  • メール
    • Excelファイルを添付し、一度に複数の従業員情報を送信できる
    • 他のやり取りと比べて返信が早いことが多く、やりとりしやすい
    • ただし、健診クリニックによっては、時間がかかることも
  • 電話
    • 予約の空き状況がすぐにわかる
    • 電話で予約まで行う場合は、予約する人数分の情報を伝える必要がある
  • FAX
    • 従業員・健診クリニックの数分、FAXで予約情報を送る必要がある
    • FAX送信後、到着確認で電話が必要となり負荷が高い
  • Webフォーム
    • 従業員に予約をお願いする場合は、スムーズに予約しやすい
    • 会社で取りまとめる場合は、従業員数分予約が必要となり負荷が高い
    • 予約フォーム送信後、返信が返ってくるまでに時間がかかることも

他にも、

  • 健診クリニックからのレスポンスは早いか
  • 健診結果は紙またはデータのどちらで送ってもらえるか

など、業務効率を考えたときに見るべき点はとても多いです。以下で詳しくまとめているので、ご一読ください。

【業務5】従業員希望・健診クリニックとの再調整

従業員との受診希望を整理できたら、健診クリニックへの予約を行います。しかし健診クリニックに予約するとき、予定していた日程やコースで予約ができない可能性も。

従業員への受診希望の調査からやり直しとなってしまうと、手戻りによる負荷が高くなってしまいますよね。こういった手戻りを防ぐために、「事前に健診クリニックに予約枠を確保しておくこと」をおすすめします。

つまり、

  1. 受診時期・人数・コースなどを健診クリニックに伝えて、予約が可能か確認する
  2. 予約枠を確保した健診クリニック・コースを候補に挙げつつ、希望調査を実施する

の流れで進めると、再調整しなくてもスムーズに健康診断の予約がしやすくなります。

とはいえ、健診クリニックによっては事前に予約の枠を押さえることができない場合もあります。事前に予約の枠を押さえることができるか、まずは確認してみると良いでしょう。

また仮に例年の健診クリニックで予約枠の確保ができない場合は、健康保険組合の指定している健診クリニックに連絡してみるのもおすすめです。

【業務6】従業員ごとに補助金を整理

健康診断の予約が完了すると、従業員ごとに補助金の整理ができる状態になります。予約業務とは直接関係ありませんが、業務効率化のために整理しておくことがおすすめです。

具体的に言うと、

  • 【業務2】健康保険組合を確認する」で整理した金額
  • 【業務4】健診クリニックの予約」で決定したコース

などを元に、従業員ごとに補助対象の有無や金額を整理しておくイメージです。

まとめる項目としては、

  • 従業員が選んだ健診クリニック・コースが、補助の対象となっているか
  • 会社の福利厚生として補助を出す対象になっているか
  • 補助となっている場合、補助金の金額はそれぞれどのぐらいか

といった情報を、従業員ごとにまとめておくと良いでしょう。

■従業員ごとに管理するシートのイメージ

従業員情報受診する健診クリニック・コース「健康保険組合」と「会社の福利厚生」の補助対象と補助金
・氏名
・従業員番号
・保険証記号・番号
・〇〇健診センター
・Aコース
・胃カメラ検査
・胃カメラ検査:〇円
・子宮がん検査:〇円
・人間ドック:〇円(偶数の年齢のみ)

Web記事の都合上、上記の項目はまとめて表示しています。エクセルなどでまとめる場合は、列を分けて準備すると良いかもしれません。

「自社で従業員ごとに予約管理シートを作るのが難しい……」といった方向けに、相談に乗ることも可能です。弊社で取り扱っている管理シートのご説明や使い方の相談なども可能なので、以下からお問い合わせください。

\管理がしやすい仕組みを作りたい方へ!/

ここまで、健康診断の予約業務に分けて、業務効率化を進める方法をご紹介しました。しかし、社内のみでできる効率化方法には限界があります。

続いて、外部を含めた業務効率化方法について見ていきましょう。

健康診断の業務効率化は、内製化だけでは限界がある。その解決策とは?

これまでお伝えしたように、

  • 健康保険組合の補助対象の確認と、健診クリニックの一覧化
  • 従業員への受診希望調査とその整理
  • 健診クリニックへの電話やFAXなどを活用した予約

など、健康診断の予約にはとても時間がかかります。

さらに、従業員数が増えるほど工数が膨れ上がっていくため、内製化(社内のみの対応)だけでは限界が来ることも。このような場合は、

  • 【解決策1】健康診断代行サービスの利用
  • 【解決策2】健康診断業務を効率化できるシステムの導入

などが効果的です。詳しく見ていきましょう。

【解決策1】健康診断代行サービスを利用する

1つ目の解決策は、「健康診断代行サービスを利用する方法」です。つまり、「外部に健康診断の予約業務をお願いする」というイメージ。

健康診断の代行サービスを活用すると、

  • 従業員数が増えても稼働の影響が少ない
  • 健康保険組合や健診クリニックとのやりとりを一本化できる
  • 業務効率化した分、別の業務に時間を割ける

といったメリットがあります。

とはいえ、

  • 健康診断は個人情報を扱うけど、そもそも代行してもらえるもの?
  • まだ会社の規模が大きくないけど、自社でも依頼できるもの?
  • 健康診断の代行サービスって、どこからどこまでの業務を依頼できるの?

と分からない点がある方もいるのではないでしょうか。以下で詳しくまとめているので、以下をご一読ください。

【解決策2】健康診断の予約業務を効率化できるシステムを導入する

2つ目の解決策は、「健康診断の予約業務を効率化できるシステムを導入する」ことです。

これまでの健康診断の予約は、

  • 自社で業務効率化を図る
  • 外部に業務委託して効率化を図る

のどちらかとなっていました。しかし従業員ごとの調整は外部で全部やるのは難しく、結局時間がかかってしまうといったケースも。

まとめ:内製化で効率化を進めつつ、外部やシステムの活用が重要

今回は、「健康診断の予約業務を効率的に内製化する方法」をご紹介しました。最後に、今回ご紹介した効率化案をまとめます。

  1. 健康診断の受診時期を決めるとき、健診クリニックを再選定して効率化する
    →参考:健診クリニック選定のコツ
  2. 補助金は、健康保険組合と会社の条件を整理して一覧化しておく
  3. 従業員への受診希望調査は、Googleフォームを利用して集計をラクに
    →参考:従業員予約のコツ
  4. 健診クリニックは、メールなどの予約がしやすいところを選定する
    →参考:健診クリニック選定のコツ
  5. 従業員数が多い時は、事前に健診クリニックに予約の枠を取れるか確認する
  6. 従業員ごとに、予約や受診状況などを確認できる資料を用意する
  7. 社内のみで効率化を考えるのではなく、外部を含めて効率化を考える

いきなり全てを実施することは難しいかもしれませんが、状況に合わせて取り組みやすいところから実施することをおすすめします。

また、今回ご紹介していない中にも、「他社で実施しているやり方に変えるだけで、業務効率化を実現できる例」も多いです。

健康診断の業務効率化について相談がある方は、以下からお問い合わせください。

\健康診断を効率化する相談ができる/

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。