ストレスチェック受検率が向上。拒否する社員への5つの工夫

「ストレスチェックを受検することが、ストレスです・・・」
従業員からストレスチェックの不満を聞いたことはないですか?直接、耳にすることはなくても受検率が低かったり、産業医面談に誰も申し出てくれない、という方が多いかと思います。
*従業員が50人以上の事業所において2014年から実施を義務化
- そもそもストレスチェックって意味あるの?
- 上司に結果を知られるのが怖い。
- 高ストレス者と出たら仕事量を減らされたりするのでは?
- 産業医面談をしているのがバレて、変に思われたくない。
だからといって、「法律で決まっているから!」と念押しして受検率が改善することは難しいですよね。
確かにストレスチェックは法律で義務付けられた面倒な業務です。ですが、実は労働安全衛生法や厚生労働省から公表されている情報を上手に使うことで、スムーズにストレスチェックを実施できている企業もあります。
受検率100%を目指すストレスチェックのためのチェックリスト
今回、Carely編集部ではストレスチェックの受検率が低いことに悩む人事・実施事務従事者の方のためにチェックすべき項目をまとめました。
ストレスチェック制度を上手に活用して職場の課題を可視化している企業(や実施サポート会社)にヒアリングして、実務的な内容で項目をまとめています。
ぜひ、下記の従業員の不満解消・回答率アップのためのチェックリストをご覧ください。

受検率の高い企業では、どうやって各項目をクリアしているのでしょうか?
実際に使われている、役立つ情報や工夫をまとめました。
従業員に「受検のメリット」と「情報保護」について分かってもらう
「めんどくさい」と従業員に思われてしまう中で、どうストレスチェックの価値を感じてもらえば良いのでしょうか。また、「会社に知られたくない」と心配する従業員には、個人情報が守られることをどうやったら理解してもらえるでしょうか。
ストレスチェック実施前に従業員へどう説明したらよいのか、ポイントをお伝えします。
⑴受検のメリットは、「ストレスへの気づき」「環境改善」「産業医のサポート」
「ストレスへの気づき」ーセルフチェック
「自分で自分のストレスに気づいて、対処を考えられる」というのがメリットの1つ目です。
ストレスチェックでは、仕事の何がストレスになっていて、どれほど自分がつらいのかが見てわかるようになっています。ストレスの原因を知ることで、ストレス解消のための方法を考えることができます。
セルフケアとは何をどうやったらいいのか、従業員に紹介している企業もあります。
(参考:こころと体のセルフケアーこころもメンテしよう(厚生労働省より))
「環境改善」ー集団分析
みんなの結果を集めて部署ごとに結果を出す「集団分析」があることも、メリットの1つです。働きやすい職場づくりの大きなヒントになるため、今では約8割の企業が行っています。
「ストレスは溜まっているけどどうしようもない」と諦めているから、ストレスチェックの意味を感じられない従業員も多くいます。企業が集団分析をどう環境改善に活かして行く予定なのかが分かると、従業員のモチベーションは更にアップします。
「産業医のサポート」ー産業医面談
産業医は、ストレスの対処方法を教えてもらったり、ストレス状態や無理のない働き方を一緒に考えたりしてくれます。 なかなか申し込みにくい産業医面談ですが、メンタルヘルス不調にならないために産業医は大切な存在です。
自分で会社に言えない悩みでも、産業医を通して伝えることができるので、問題解決に向かいやすくなります。
⑵「情報保護」により、ストレスチェックの情報は守られている
個人結果は会社(上司・人事)に見られない
ストレスチェックの結果が上司や人事に見られたら、仕事を減らされるのでは?異動になるのでは?と心配する従業員もいます。
ですが、本人が同意していないのに、ストレスチェックの結果を事業者(上司や人事を含む)に開示するのは禁止されてます。人事評価などで従業員の不利益になるように使われることは、一切ありません。
国の指針で厳しく規制されていることを、改めて従業員に説明すると良いでしょう。
(参考:厚生労働省『ストレスチェック指針』)
産業医面談の内容が許可なく会社に伝えられることはない
産業医は守秘義務があり、面談の内容を企業に伝えることは原則禁止されています(法第104条)。産業カウンセラーや人事が補足的に面談をするときも、同じように守秘義務があります。
従業員の同意がない限り、面談の内容が会社に共有されることはないことを事前に伝えておくと、安心感をもってもらえます。
受検のハードルを下げるためのしくみ作りをする
ここまで、ストレスチェック実施前に伝えるべき情報をまとめてきました。 では、ストレスチェック受検をスムーズにする会社のしくみ作りには何があるでしょうか?
⑴ストレスチェックの情報が従業員に伝わるシステムを作る
「メーリングリストで実施の案内をしたのに読んでくれない!」と感じたことはないでしょうか。ストレスチェックの情報を流しても、スルーされてしまうことがよくあります。
受検率の高い企業では、以下のような工夫がされています。
- 朝礼や全体ミーティングでストレスチェックの目的を説明する。
- 部署ごとのメーリングリストやチャットページで上司にアナウンスしてもらう。(その際、アナウンス元はストレスチェック実施者であることを明記する。)
- リマインドをストレスチェック実施中に何回も行う。
- リマインドの曜日や時間を工夫する。(例.月初や週明けは避け、火・水・木曜日や昼休み時間を狙って流す。)
リマインドを自動化したり未回答者のみにリマインドするオンラインシステムを使うことで、実施者側の負担軽減や効率化ができます。
⑵産業医面談申し込み時に、企業に開示したくない情報を確認する
産業医面談を申し込むと、自動的にストレスチェックの結果を会社に共有するのに同意したと見なして良いことになっています。
「面談申し込み時点で上司や人事に共有してほしくない情報があるかを確認する」というしくみがあると、従業員の不安が軽くなります。面談内容も、本人に確認してからでなければ会社に伝えないというルールと併せて、従業員に伝えると良いでしょう。
⑶産業医面談がバレない「場所」と「情報管理」
ストレスチェックの結果や産業医面談の内容が守られていても、
「産業医面談をしていること自体が周りにバレる!」ということもあります。
面談しているところを同僚に見られる、上司と面談の話をしているときに聞かれてしまう、など、いろいろなリスクがあります。
産業医面談がバレないための、「場所」の工夫と「情報管理」の工夫がこちらです。
「場所」の工夫
- 壁が透けていたり、作業場に隣接した会議室は避ける。
- 近くのカフェで行う。
- オンライン通話で行う。
「情報管理」の工夫
- 口頭ではなくメールで情報交換する。
- スケジュール管理の中で、「上司との面談」として入れておき、産業医面談であることが分からないようにする。
メンタルヘルス不調にオープンな職場の雰囲気を作ることも大切です。日頃からこころの健康を気にかける習慣があると、ストレスチェックを受検する文化が根付きやすくなります。
日頃から従業員に声かけをして、ストレスやメンタル不調を相談しやすいような信頼関係を築いておくと良いでしょう。異変を感じた時は直ぐに声をかけ、上司や人事、産業医との面談を提案してみてください。
ストレスチェックの実施前や実施後評価に使える、『受検率100%のストレスチェックを目指すためのチェックリスト』(PDF)はこちらからダウンロードできます。