定期健康診断結果報告書!この書き方でらくちん5分で終了!

健康診断の報告書、正しく書けていますか?
労基署へ提出する「定期健康診断結果報告書」ですが、悲しいことに、間違った書き方で余計な時間をかけてしまっている場合が多いのです。
在籍労働者数や有所見者数など、どうやったら間違いなく、すばやくカウントできるのでしょうか。
今回は、各項目で聞かれていることや労働者の数え方など、報告書の全てをまとめました。
有所見者ってなに?どうやって提出するの?など、いまさら聞けない!といったことについては、記事後半をチェックしてみてください。
よくある質問へ細かくお答えします。
定期健康診断結果報告書は以下よりダウンロードしてください。
定期健康診断結果報告書フォーマット
*報告書は3部印刷し、2部を提出用、1部を落書きにすると便利です。

ステップ1 序盤はメモして毎年転用【目安30秒】

上の部分はほぼ毎年変わりません。メモを残しておくと、来年も確認しながら素早く書けます。
ポイント① 「対象年」
今回報告書にまとめる健康診断を実施した年と、何月から何月までをまとめて報告しているかを記入します。基本的に1年分までまとめて報告できます。
ポイント② 「健診年月日」
健診対象の従業員の内、最後の人が健診を受けた年月日を記入します。
ポイント③ 「事業の種類」
「日本標準産業分類の中分類」を参照してください。
ステップ2 中盤は定義を知れば計算いらず【目安1分】

名前のややこしい項目が続きます。誰を数えたらいいのかが分かっていると、迷わずにすばやく記入できます。
ポイント④ 「在籍労働者数」
健診を行った時点での「常時使用する労働者数」のことです。なんだか難しく見えますが、要は「社会保険加入者数」と同じです!社会保険のラインで在籍労働者とすればOKです。
なお、社会保険は、正社員をベースに3/4以上働いている労働者が加入必須となっています(正社員が週40時間勤務する場合は週30時間以上働く人)。雇用形態(派遣社員かパートか等)は関係ありません。
ポイント⑤ 「受診労働者数」
単純に健康診断を受けた人の数です。ポイント④で出てきた「常時使用する労働者」の全員が受けているのなら、受診労働者数=在籍労働者数になります。
会社で実施する健康診断の代わりに人間ドックを受検している人がいる場合は、その人も含めた人数を記入します。
ポイント⑥ 「特定業務従事者数」
特定業務とは、健康の害になる危険性のある業務のことで、厚生労働省がリストを作っています。特定業務に関わっている従業員は、6カ月に1回の定期健診が義務付けられています。イ~カの欄には、それらの特定業務を行う労働者の数を厚労省の分類別に記入していきます。(厚労省の分類はこちら)
「計」はイ〜カまでの数字を足したものです。事業所内に特定業務に「常時」従事する労働者がいる場合、この欄への記入が必須です。
例えば、IT企業であれば記入は不要ですが、病院では深夜勤務があるので、「カ」に人数を記載します。深夜勤務の定義は、「22時から5時までの間に労働をさせる」場合なので、例えば「所定労働時間が22時30分まで」となっている場合は該当します。
ただし、たまたま1回22時30分になったとしても特定健康診断の対象にはなりません。「たまたま」が「頻回」になった場合は、特定業務に入る可能性が出てきます。
ステップ3 標的を絞って素早くカウント【目安3分】

全ての健康診断結果をめくっていかなければならない最難関エリアです。効率的に対象者を見つけ、落書き用の用紙に正を振って数えていきましょう。
健診結果をエクセルなどのデータでもっていると、格段にスピードが上がります。健診会社が有所見者数をまとめてくれる場合もあるので、健診会社に確認することをお勧めします。
ポイント⑦ 「有所見者数」
検査結果が「正常ではない」と出た人を有所見者と言い、その人を検査項目ごとに数えていきます。
正常かどうかを見分けるには、個人結果用紙の各検査項目のところにローマ字で書かれた判定結果という欄を見ていきます。病院によって8段階だったり4段階だったりしますが、多くの場合A~Hの8段階で振られていて、「要医療」(または要治療)をD判定とし、「要精密検査」をE判定としています。
有所見者数を無難に言えば、“ D 判定と E 判定”の合算労働者数です。
→ 判定基準について詳しく知りたい方は、「こちら」
「E判定」を含めずに「D判定」のみを数えていっても良いです。特に法律では決められていません。有所見の基準は何なのか、厳密な定義や指針がないのです。労働安全衛生法によると、異常所見は医師の判断で良いとされています。
また、医師が認める場合に検診項目の省略があると、実施者数が受診労働者に満たない場合もあります。
→健康保険組合の健康診断項目の省略について詳しく知りたい方は、「こちら」
まめ知識
一般的な企業では、D判定にあたる「要治療」「要医療」を含めているところが最も多く(57%)、E判定にあたる「要精密検査(要精査)」を含めているところが2番目に多いとされています(56%)。
(平成24年度山口産業保健推進センター、複数回答可の質問)
ポイント⑧ 「所見のあった者の人数」
検査項目全体で見て、どこかの検査で有所見となった労働者の人数を記入します。これはどこかしらの項目に所見のあった人の数なので、単に全項目の有所見者数を足さないよう気をつけてください。
※ 1人の従業員について有所見が複数あった場合でも1人として数えます。
※ 総合判定ではなく、各検査項目ごとの判定結果を見て有所見があるかどうかをチェックしていきます。
また、歯科健診の結果は別の欄に記入するので、歯科健診にのみ所見のあった人は「所見のあった者の人数」から除きます。
ポイント⑨ 「医師の指示人数」
有所見者のうち、要検査(再医療・要精密検査)や休業・就業制限のかかった人の数です。
つまり「医師の指示人数」に含める人数は
- 要医療の記載ある従業員
- 要精密検査のある従業員
- 生活指導や保健指導が必要の従業員
ということになります。
※ 要再検査は含まれません。
→ 「医師の指示人数」について詳しく知りたい方は、「こちら」
まめ知識
「要再検査」というのは、まだ「異常と確定された」のではなく、「検査の精度上、誤差や正確性が損なわれている状況と考えられるために再度検査を要する」ということなので、「異常と確定されたので医師の指示を受けた」という意味の「医師の指示人数」には含まれないのです。
ここまで見てきていかがですか?1つ1つ見ていくことは、骨が折れる作業ですね。労基署報告に必要な数値がシステムで計算できたら、楽ですよね。それが可能なのがCarely。
事後措置業務の効率化する方法について、以下にて解説していますので、ぜひご覧ください。
ステップ4 最後は気を引き締めて再提出回避【目安30秒】

いよいよ最終エリア。報告書の再提出にならないよう、ヌケ・モレなく締めましょう。
ポイント⑩ 「産業医」
産業医の氏名に加え、配属先、所在地を記載するように指摘される場合がありますので、最初から記入しておいたほうがよいでしょう。今までは産業医の押印や電子署名も必要でしたが、令和2年厚生労働省令第154号により産業医の押印・電子署名は不要になりました。
ポイント⑪ 「労働基準監督署長殿」
所管労働基準監督署の名前です。「こちら」から確認できます。
ポイント⑫ 「事業者職氏名」
会社の代表者職氏名と代表者印です。
よくある質問
Q1. 有所見者とはなんですか?
健康診断の結果、「正常ではない」数値が出た人のことです。平成22年3月25日に通知された厚生労働省局長の「定期健康診断有所見率の改善のための取組」によると、有所見とは、“健康診断を受診した労働者のうち異常の所見のあるもの”のことです。
「労働者の健康診断結果の異常の所見」というのが、決まっていればわかりやすいのですが、定義や指針は特に定められていません。ご自身の会社の産業医や医師、保健師に有所見の基準をどうしたらいいか聞いてみていただけると確実です。
★ 定期健康診断結果報告書で悩むベスト1がこれ!有所見。こちら↓↓↓
・「「定期健康診断結果報告書の有所見者」はこれだ!」
Q2. 有所見者の判定はどう分かれているんですか?
健康診断結果の各健診項目の判定では、正常(異常なし)やほぼ問題なし(日常生活に支障なし)、経過観察、要精密検査(要二次検査)、要治療(要医療)、治療中といったように判定が分かれています。
判定の分け方や定義は病院や健診会社ごとに異なっていて、共通の分け方があるわけではありません。
一般的にはA~Hまでの8段階が多いですが、A~Dの4段階やA~E、N(判定不能)の6段階など、様々な判定基準があります。
今回は8段階の想定でD判定とE判定を数えていきましたが、どの判定が「要医療」「要精密検査」に当たるかは、産業医や保健師、健診会社に確認していただけると確実です。
★ 定期健康診断結果報告書で悩むベスト1がこれ!有所見。こちら↓↓↓
・「「定期健康診断結果報告書の有所見者」はこれだ!」
Q3. 医師の指示人数にある「生活指導や保健指導が必要の従業員」はどうやって数えたらいいんですか?
産業医が健診結果から就業判定するときに、「個別の保健指導が必要」といった判定が出ると思います。それが「生活指導や保健指導が必要の従業員」に当たると思われます。産業医に就業判定の結果を聞く時に、定期健康診断報告書に記載する「医師の指示人数」を何人にしたら良いか、ご確認ください。
Q4. 報告書の提出時期や期限はいつですか?
提出時期や期限は特に定められていませんが、「遅滞なくその結果を通知しなければならない(第66条の6)」とされています。毎年1回提出することが義務付けられているので、報告書を前回提出したときから1年以上間が空かないようにお気をつけください。
Q5. 報告書はどこにどうやって提出したらいいんですか?
報告書は所轄都道府県労働基準監督署に提出します。各地の所轄労基署は「こちら」からご確認ください。
提出方法としては、提出先窓口へ直接、または郵送で提出できます。提出先の受付印が押印された控えが必要な場合は、提出書類の写しと、返信用封筒(返信先を記載し、所要の切手を貼付したもの)を同封します。また、電子での申請も可能です。電子政府の相談窓口e-Govにて詳細をご確認ください。
なお、厚生労働省から白色度80%以上の用紙に印刷するように案内が出ていますので、ご注意ください。
最後に、定期健康診断結果報告書対応をスピードアップさせるためには…
定期健康診断結果をよりスピーディに記載するには、健診会社からデータをもらって処理すると非常に速くなります。
また、オンラインで健診結果を管理できるシステムを導入することもできます。
