休職中社員との連絡の困りごと。頻度は?不通になったら?上司からもあり?保健師が解決します。

こんにちは、Carely編集部の小川です。
いつもの記事では、法的に正しい実務ノウハウや迷ったときの判断基準を解説することが多いのですが・・・本記事では保健師が解決するケーススタディをご紹介します。
「法律は分かったけど、うちの会社の場合はどうなるの?」
「個別の対応策は、書籍でもネットでも調べてもでてこない。」
そんな現場の困りごとに対して、保健師がどのように解決しているのか?をCarelyのリモート保健師チームにインタビューしてきました。
今日のインタビューでは、休職中社員との連絡の取り方についてあるあるなケースを3つ聞いてきました!
(※事例はプライバシー保護のためいくつかの事例を複合し、
個人が特定されないよう改変を行なっております。)
ケース1. 休職中社員と連絡をとる頻度

今回はどのような相談が人事の方からあがってきましたか?

休職中の社員さんがいらっしゃるんですけど、人事として連絡の取り方が分からないということで。特に悩まれていたのが連絡の頻度ですね。


入社されて数ヶ月経ったタイミングから、勤怠が不安定であったり仕事へのモチベーション維持が難しいことなどもありますので、休職される方もいます。


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そうは言っても、休職中の体調確認や安否確認としての連絡は欠かすことができないので、連絡する頻度のさじ加減は難しいですね。

休職に入りたてでまだまだ身も心も疲れている段階では、連絡の頻度は少なくなります。一方で、すでに主治医から復職可能の診断書をもらっている段階では、連絡の頻度は仕事に慣れる意味合いも込めて頻繁になってきますよね。
休職者の状態や復職に向けた段階については、以下の記事で解説しています。


主治医から診断書がでている段階の次は、産業医との面談を通して就業の可否を判断します。あとは同時並行で、働き始めるおおよその時期や労働条件を決めるためにも、人事担当との面談も発生します。
その面談のスケジュールを決めるためにも、メール連絡が必要になってくるので週1回が目安になるとお伝えしました。

主治医から復職OKの判断がでた後では、週1回の連絡が目安になるということですね。

と心配されるかもしれませんが、復職に向けた準備を整えている段階では「人事と従業員がタイムリーに連絡がとれるか」どうかも復職の判断基準に入ってきます。
逆に、主治医から復職可能な診断書がでたとしても、メール連絡がとれない状態であれば就業は難しいと判断せざるを得ないですよね。ですのでおおよその目安としては週1回の連絡頻度と、産業医や人事との面談の状況に応じて復職時期を判断します。

休職者が連絡をとる相手としては、やはり人事が担当することになるんですか?

保健師が常駐してない企業様だと、人事労務担当の方、できれば普段から従業員からの相談にのっている方であったり、産業医面談をセッティングする方が適しているかと思います。
産業医と密に連絡がとれる関係であれば、休職中の社員から相談があったときにも意見を伺うことができますから。


休職に入る前の、普段の健康相談や専門的な医療アドバイスについてはリモート保健師が対応していまして、場合によっては人事面だが必要なときや労務上の介入が必要なときに、私たちから人事担当の方へ申し送りします。

顧客企業の産業医・保健師、人事労務担当、そしてCarelyのリモート保健師の三者でリアルタイムに連絡がとりあえるチャット機能。特に休職者へのフォローアップでは大活躍だと好評です。
しっかりと健康管理システムCarelyのアピールもしていただき、ありがとうございます(笑)



休職に入りたての段階は、心身ともに一番疲労している時。特にメンタルヘルス起因で休まれている場合には、まずはとにかく心と体を休める時期として、ストレス要因から離してあげることを一番に考えてください。
業務由来でお休みになっているケースが多いでしょうから、連絡の頻度は減らして1ヶ月に1回程度が目安ですね。
体調確認・安否確認ができる程度の連絡として、ちゃんと食事ができるかなとか、眠れているかなという最低限の確認をおすすめしています。
ケース2. 休職中社員と連絡が途絶えてしまった場合の予防策


休職者対応をしていた人事部でもだんだんと人手が足りなくて休職者への連絡に手が回らなくなってきたところ、復職が近づいている方へ連絡をしても返信がかえってこないことが発生していました。


今回のケースでは、電話連絡の後に数日待ってみて、もう一度電話をかけてみると繋がったと人事の方から報告があったので安心しました。ケース1でお話したように、復職間近になって連絡が途絶えてしまいましたので、、、結局は休職期間を再延長する対応となりました。


ですので、私たちから普段お伝えしているアドバイスの中でも、休職に入ってからではなくて、入る前に「定期的な連絡をとります」ということ休職者に伝えることを念押ししています。休職中には何もすることがない訳ではなくて、必要な書類を作成するためのやりとりも発生するので、期限を決めて提出するように約束してほしいですね。
それと「休職期間が満了になったタイミングで連絡が取れないと自然退職になってしまいます」といった、もしもの場合も事前にお伝えしておくことは必要です。ただ休職者に口頭で伝えると、プレッシャーに感じてしまったり、忘れてしまうこともあるので書面で伝えることがおすすめしています。




多くの企業では就業規則に休職に関する規定があるはずです。ただ、もしも事前に規定がないままに、休職期間が満了して連絡がとれない社員を自然退職にしてしまうと、訴訟トラブルに発展してしまうリスクがあります。



休職期間中に提出してもらう書類がある・・・というのは具体的に何があるんでしょうか?

その他には、復職するにしろ、休職期間を延長するにしろ、主治医からの診断書を提出してもらう必要があります。


ただ提出すべき書類というのは、会社のためにというよりも、従業員の生活のために役立つ書類なんですよね。休職中の金銭的な担保だったり、長いこと職場から離れていると心理的に孤独になってしまったりするので。

・・・ところで、休職期間中にこれくらいの期間で連絡が途絶えると危ないよ、黄色信号だよ、という目安はありますか?

ただケース1で話したように、連絡する頻度は休職中の段階によって変わってくるので、絶対にこの期間をあけちゃまずい・・・とは言い切れないですね。

連絡が途絶えてしまいがちな特徴、パターンというものはありますか?

たとえばがんの治療や病気からの復帰に関しては、病院での治療方針で計画が定められているので、先のスケジュールもたてやすいですし、比較的連絡が途絶えることは少ないかと思います。
一方で、メンタルヘルスが理由で体調が悪くなったり、会社と連絡をとるのに気力・体力を使ってしまうような状態が見られると、連絡が途絶えてしまう可能性は高いです。
ただ、、、一概に休職理由だけで分けることはできなくて、個人差が大きいことだと思います。
ケース3. 休職中の社員に、上司から連絡をとってもいいのか?




中でも休職の理由が仕事・業務に関係する場合には、上長や同じチームメンバーから連絡してしまうと、メンタル不調だったり体調が悪化する刺激になってしまいますので控えることが一般的です。


そもそも休職というのは、休まざるを得ない原因が仕事によって発生したのか、私生活によって発生したのかがハッキリと分からない場合の判断期間としても扱われるんですね。
ですので、万が一にも休職者本人の体調を考えるなら、第三者という立場から人事労務担当が休職者との連絡の窓口になっていただきたいです。


ですので上長からの連絡は控えていただいて、人事担当やリモート保健師に任せていただくことで落ち着きました。

休職者の状況について直接連絡をとることはできないならば、人事の方に状況を聞くのはいいのでしょうか?

どれくらい休みが続きそうなのか、復帰の目処がついているとしたらどんなスケジュールを予定しているのか、といった確認なら可能です。
それ以外の体調の経過ですとか気持ちの変化といった個人的な情報になると、従業員からの開示同意がなければ、上長にお伝えすることはできませんね。やはり従業員の意見を汲むことが優先されます。


休職の目的、最終的なゴールというのは症状を整えて不調の原因を取り除いた上で復職していくことです。このゴールのためには上長と連絡をとることがプラスになるなら、妥当性があります。
ただどのようなアプローチが休職者にとって良い方向になるのかは、非常に専門的な領域で知識も経験も求められます。精神面も身体面でもどんな経過を踏んできているのかを判断する必要もあるので、選任している産業医と相談したり、私たちのようなリモート保健師と二人三脚で進めていってほしいですね。
就業判定は産業医に。普段の健康相談はCarelyの保健師に。
はい、以上で休職中社員との連絡の取り方についてあるあるなケースを3つ聞いてきました。
こうした従業員の健康に関わる相談先は、選任している産業医にたずねることが多いかと思います。では産業医とCarelyのリモート保健師はどのように使い分けたらいいのか。
産業医が実施する業務の中で、もっとも重要な業務が就業判定です。
従業員の健康情報(健康診断やストレスチェック、残業時間など)をもとに普段の生活状況や仕事の負荷を、産業医面談を通して見極めます。産業医面談の中で、このままの状態では働きつづけることが困難であると判断したときには、意見書をつくって企業経営者・人事担当に働く環境を調整するように指導します。
就業判定は産業医にしか行えない業務ですので、集中して時間をさいてもらう必要があります。
そのためにも、普段の生活のセルフケアや通院に関する相談、薬に関する悩み事といった健康相談については、リモート保健師を活用する企業が増えてきています。
今後も従業員の健康管理についてあるあるな困りごとを、Carelyのリモート保健師チームに解決してもらいます。それではまた!