健康診断のコースの見分け方とは?押さえておきたい3つのポイントを解説!

「テレワークの導入により、例年と違う健診クリニックを探す必要が出てきた……」
「企業の規模が大きくなり、支社を含めた健康管理が必要になってしまった……」
「健康診断のコースの見極めが必要だが、どのように選定すべきかわからない……」
と悩んではいませんか?
そこで今回は、
- 健康診断のコースを見分ける3つのポイント
- 健康診断のコースの4つの種類
- 健康診断のコースを考えるときによくある2つの質問
の流れで、健康診断のコースを選定に必要な情報をまとめてご紹介します。
「1から自分で全部調べてまとめるのは大変……そもそもそんな時間がない……」
と悩んでいる人事・総務担当者の方は、ぜひご一読ください。
健康診断のコースの見分け方・違いは?3つのポイントを解説!
健康診断のコースを見分けるポイントは、以下3つです。
- 健康保険組合の補助対象となる、健診クリニックのコースを選ぶ
- 法定項目を網羅したコースを選ぶ
- 働き方・年齢・性別などによるリスクを考慮し、オプション検査などを検討する
とくに3つ目のオプション検査は、受ける人によって検査項目が異なります。事前に見ておくと、補助金の条件などの社内の規程も作りやすくなるのでおすすめです。それでは順番に見ていきましょう。
【ポイント1】健康保険組合の補助対象となる、健診クリニックのコースを選ぶ
健康保険組合の補助対象になる健診クリニック・コースの視点で言うと、以下の3つの種類があります。
- 健康保険組合の指定クリニック
- 健康保険組合の指定ではないが、補助申請できるクリニック
- 健康保険組合の提携外かつ、補助申請の対象にならないクリニック
3の「補助対象にならない健診クリニック」の場合、企業の費用負担額が増えてしまうためおすすめできません。そのため、ここでは1と2の違いについて詳しく補足します。
1の「健康保険組合の指定クリニック」では、健診クリニックと健康保険組合が受診者や受診コースの情報を直接やりとりをしてくれるケースも。企業と健康保険組合のやり取りが減るため、工数削減につながります。
一方で2の「健康保険組合の指定ではないが、補助申請できるクリニック」では、補助申請自体はできます。しかし企業が健康保険組合に別途申請する必要があり、組合によっては「従業員1人」に対して「1枚」の申請書が必要になることも。
つまり、従業員の数分「申請書の作成 → 送付 → 確認」のやり取りが発生してしまい、人的コストの点であまりおすすめできません。
ただ、例外的に指定外のクリニックを選んだ方が良い時もあります。たとえば「健康診断の予約にかかる時間が、指定外のクリニックの方が早い」と言った場合です。
特にFAXでの予約が必須となっている場合は時間がかかってしまうため、その点を考慮しつつ健診クリニックを選定しましょう。
【ポイント2】法定項目を網羅したコースを選ぶ
健康診断の法定項目を網羅したコースを選ぶことも、重要です。
健康診断で受診すべき項目は、法律(労働安全衛生法第66条)で定められています。法定項目を満たしたコースを受診しないと、次のような法律違反につながることも。
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
労働安全衛生法
健康診断の法定項目については、後ほど詳しくご紹介します。
【ポイント3】働き方・年齢・性別などによるリスクを考慮し、オプション検査などを検討する
法定項目だけでなく、オプション検査も追加で検討することをおすすめします。なぜなら、働き方や年齢、性別などで「健康へのリスク」が大きく変わるからです。
以下の項目を考慮して、オプション検査を受診させるか決めましょう。
年齢 | 40代になると、生活習慣病のリスクが高まる。 |
---|---|
働き方 | 40代以下でも、深夜業の人や肥満体型の人、外回りの仕事が多い人は健康リスクが高い。 |
性別 | 女性は乳がんや子宮がん、男性は前立腺がんになるリスクがある。 |
過去の診断結果との比較 | 長時間労働が続いている、再検査になっているなど、前年度より健康状態が悪化している人はハイリスク。 |
「でも、オプション検査が必要かどうか、どうやって判断すればいいの……?自分だけで判断してよいもの?」と思った方もいるのではないでしょうか。
オプション検査の有無については、産業医と相談して決めることをおすすめします。
とはいえ、「数多くいる従業員の中から健康リスクの高い人を把握するのは、なかなか大変……。」と感じる方も多いかもしれません。このときおすすめなのが、健康管理システム『Carely(ケアリィ)』です。
Carelyでは、
- 健康診断の結果
- ストレスチェックの結果
- 労働時間
などをもとに、ハイリスク者を自動で絞り込んで表示する機能があります。
Carelyで過重労働者を検索表示した画面の例

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ここまで、健康診断のコースを決める際の3つのポイントを解説しました。
■健康診断のコースの見分け方、3つのポイント
- 健康保険組合の補助対象となる、健診クリニックのコースを選ぶ
- 法定項目を網羅したコースを選ぶ
- 働き方・年齢・性別などによるリスクを考慮し、オプション検査などを検討する
しかし「そもそも健康診断のコースって、どんなものがあるの……?」と疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。そこで次に「法定項目」や「人間ドック」など、健康診断のコースの種類について解説します。
健康診断のコースにはどんな種類があるの?4つのケースに分けて解説!
健康診断のコースの種類には、以下4つのケースがあります。
- 法定項目(全部入り)
- 法定項目(一部省略)
- 法定項目 + オプション検査
- 人間ドック
それぞれ順番に見ていきましょう。
【ケース1】法定項目(全部入り)
健康診断で受診すべき項目は、労働安全衛生規則第44条で定められています。具体的な法定項目は、以下のとおりです。
■健康診断の法定項目
・既往歴及び業務歴の調査
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」
・自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
・胸部エックス線検査
・血圧の測定
・貧血検査(血色素量及び赤血球数)
・肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
・血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
・血糖検査
・尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
・心電図検査
基本的には上記の法定項目を満たしていれば、問題ありません。
健診クリニックごとにAコース、Bコースなど名前が異なるため、コースの検査項目が法定項目を網羅しているか確認すると良いでしょう。
【ケース2】法定項目(一部省略)
ケース1で受診すべき法定項目をご紹介しましたが、一部項目は受診を省略できるケースもあります。
省略できる健康診断の項目と条件は、以下のとおりです。
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」
しかし上記の項目を省略するためには、「医師が必要ないと認めること」が必須条件となっています。つまり、産業医が「省略しても問題ないと判断した場合」のみ、省略可能となるわけです。
したがって「35歳未満だから、貧血検査をしなくてもよい」と、企業担当者が年齢だけで決定できない点には注意しましょう。
健康診断の法定項目は場合によって省略可能ですが、
- 若い人の健康問題を見過ごすリスクが発生する
- 従業員ごとに省略可能か判断が必要となり、管理コストがかかる
といった点から、可能であれば法定項目全てを受診することをおすすめします。
【ケース3】法定項目 + オプション検査
従業員の健康診断は、法定項目とオプション検査を一緒に実施するケースもあります。
よくあるオプション検査には、以下のものが挙げられます。
■よくあるオプション検査
- 脳ドック…脳出血や脳梗塞などのリスクを調べる検査
- 心臓ドック…心疾患のリスクを調べる検査
- 大腸内視鏡検査…大腸がんを早期発見できる検査
- 婦人科系の検査…乳房や子宮など、若くてもがんになりやすい部位の検査
オプション検査は、法律上必須ではありません。しかし先ほどご紹介した、
- 年齢
- 働き方
- 性別
- 過去の診断結果との比較
などを考慮し、健康リスクが高い場合はオプション検査を受診させることをおすすめします。
なお、オプション検査については以下記事でも詳しくまとめています。年代別におすすめのオプション検査を調べたい方は、以下をご一読ください。
【ケース4】人間ドック
人間ドックは、健康診断の法定項目を網羅しています。そのため、健康診断の代用として受診可能です。その根拠は、労働安全衛生法第66条5項の規定に記載されています。
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
労働安全衛生法第66条5項
ただし、健康診断と人間ドックでは、以下の3点が大きく異なります。
健康診断と人間ドックの違い
- 人間ドックの方が、検査項目が多い
- 人間ドックの方が、受診費用が高い
- 健康診断は企業負担で受ける義務があるが、人間ドックは個人負担となる
人間ドックの受診が法律で義務付けられていない以上、個人負担で人間ドックを受ける形となります。しかし人間ドックは3万円以上かかることもあり、個人負担のみで受診したいと思う人は少ないでしょう。
つまり、「ハイリスク者に人間ドックを受けてほしいけど、個人負担では受診をすすめられない……」といった問題が起きてしまうわけです。
この問題の解決方法は、以下の2つです。
- 健康保険組合の補助対象を確認し、補助金を出す
- 企業の福利厚生の1つとして、条件を決めて補助金を出す
まずは健康保険組合で、補助金の対象となる条件がないか確認しましょう。その上で、ハイリスク者に受診してもらうために、会社として補助金を出す条件などを検討する形が良いかもしれません。
人事が人間ドックを受診させる際の注意点については、以下をご一読ください。
ここまで健康診断の4つのコースについて解説しましたが、「健康診断のコースを決めてから、予約するのが大変そう……」「健康診断のコースや予約を簡単に管理できないのか……?」と思う方もいるのではないでしょうか。
そこで次に、健康診断のコースを考えるときによくある2つの質問とその回答をご紹介します。
健康診断のコースを考えるときによくある2つの質問
健康診断のコースを考えるときによくある質問は、次の2つです。
- 従業員ごとに、健康診断のコースを予約・管理するコツは?
- 健康診断の予約業務を、外部にお願いすることはできるもの?
順番に解説します。
【質問1】従業員ごとに、健康診断のコースを予約・管理するコツは?
従業員の数が多いほど、健康診断のコースを予約・管理するのは大変です。しかし、以下5つのコツを知っていれば、円滑に健康診断のコースを予約・管理できます。
■健康診断を従業員ごとにスムーズに予約する5つのコツ
- マニュアルを用意して、従業員予約の作業確認にかかる時間を減らす
- Googleフォームなど、従業員の希望を整理しやすいツールを使う
- 従業員の健康診断の予約状況を管理できる資料を用意する
- 従業員数が多い(500人以上)の場合は、事前に健診クリニックで予約の枠を取る
- 日程調整がなるべく発生しづらいように、受診日をリマインド通知する
以下の記事では上記の内容を詳しく解説しています。また、業務を効率化をすすめるコツもお伝えしているため、ご一読ください。
【質問2】健康診断の予約業務を、外部にお願いすることはできるもの?
結論から言うと、健康診断の予約業務を外部に委託することは可能です。実際に健康診断の予約を代行するサービスもあります。
ただ、健康診断の予約には従業員の個人情報が必要になるため、「外部に任せて大丈夫なのか?」と気になる方もいるかもしれません。
確かに健康診断の結果は従業員の個人情報であるため、企業は適切に管理する必要があります。このとき重要になるのが、「健康情報等の取扱規程」です。
「健康情報等の取扱規程」は、従業員の健康診断の情報を、企業が従業員の健康と安全のために保管・利用するという社内規定です。健康情報等の取扱規程では、企業が第三者へ個人情報を提供できないとされています。
しかし、「健診結果等の入力、編集分析等を委託して実施する場合」は例外として、個人情報の提供先が第三者とみなされません。
つまり、健康情報等の取扱規程を適切に定めていれば、健康診断の予約を外部に委託しても法律的に問題ないということです。
ただ業務を外部にお願いするなら、「より安全な委託先に任せたい」と考える方も多いです。そのため健康診断を予約するサービスの中には、セキュリティを強化しているところもあります。
たとえば健康管理システム『Carely』は、国際的セキュリティ基準であるISO27001(ISMS)を取得し、システムを構築しています。そのため、企業と従業員が安心してサービスを利用することが可能です。

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まとめ:健康診断のコースを見分けて、スムーズに予約することが大切
健康診断のコースを見分けるポイントは、以下の3つです。
- 健康保険組合の補助対象となる、健診クリニックのコースを選ぶ
- 法定項目を網羅したコースを選ぶ
- 働き方・年齢・性別などによるリスクを考慮し、オプション検査などを検討する
これらのポイントを参考に健診クリニックのコースを選定すれば、法令順守しつつ健康リスクを抑えやすくなります。法定項目の省略、オプション検査の有無、人間ドックの代用などの選択肢もあるので、産業医と相談しつつ決めると良いでしょう。
しかし健康診断はコースを選定するだけでなく、実際に健診クリニックに予約したり、従業員への受診希望調査をしたりと負荷が高い業務です。
特に従業員数が増えて企業規模が大きくなってくると、法律で定められた期日までに実施が難しくなり、業務効率化を余儀なくされることも。このような場合は、
- 社内の業務効率化を進める
- 健康診断の代行サービスを利用する
- 健康診断の業務効率化に繋がるシステムを導入する
の3つの方法がおすすめです。
それぞれ以下の記事でまとめていますので、ご一読ください。
▼社内で健康診断の業務効率化を進める方法
▼社内で健康診断の業務効率化を進める方法
▼健康診断の業務効率化に繋がるシステム「Carely」とは?