健康診断の費用はどこまで会社で負担すべき?5つのケースに分けて解説

健康診断は「労働安全衛生法第66条」により、事業者に実施が義務づけられています。健康診断といっても雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、海外派遣労働者の健康診断など種類も多く費用が毎回発生するのは、企業側にも大きな負担ですよね。
「どれくらい予算を確保しておけばいいのだろう?」
と疑問に思う方も多いかと思います。
そこで今回は、健康診断の費用について徹底解説します。
健康診断の費用は会社が負担すべきか?
健康診断の実施は法律で義務付けられており、「法定項目」と呼ばれる必須の検査項目が存在します。
法定項目については、会社が健康診断の受診費用を負担するのが原則です。
しかし、企業の健康経営や個人の健康志向の高まりによって、子宮がんや乳がんなどの婦人科検診費用を会社で負担しているというケースも増えてきています。
会社の方針や加入健保、利用する健診センター・クリニックによってさまざまなルールがあるため、自社では健診費用をどこまで会社負担にすべきか悩んでしまいますよね。
そんな悩みを解決するために、まずは基本となる健康診断のルールについて見ていきましょう。
健康診断の「種別」と「法定項目」
健康診断には業務内容や就業環境に応じて、いくつかの種別があります。
大きく分類すると以下の6つです。
- 定期健康診断
- 雇入れ時の健康診断
- 特定業務従事者の健康診断
- 海外派遣労働者の健康診断
- 給食業務従事者の検便
- 特殊健康診
「定期健康診断」と「雇い入れ時の健康診断」は業務に関係なく実施が必要になります。
特定の業務を実施している従業員を雇用している場合、
「特定業務従事者の健康診断」
「海外派遣労働者の健康診断」
「給食業務従事者の検便」
「特殊健康診断」
も必要となります。
原則として法令で決められた検査項目の健康診断については、受診費用を企業が負担しなければなりません。
自社で実施すべき健康診断の種類を確認した上で、健康診断の実施計画を立てていきましょう。
定期健康診断
- 受診対象者:常時使用する全ての労働者
定期健康診断は労働安全衛生法に基づき、常時使用する全ての労働者に対し、1年以内ごとに1回の受診が義務付けられています。また、受診内容に関しては下記11の「法定項目」を受診させる必要があります。
労働安全衛生法に基づく定期健康診断
法定項目は、次の11項目です。
一 既往歴及び業務歴の調査
労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀(かく)痰(たん)検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
常時使用する労働者とは正社員だけでなく、以下の2つの条件に当てはまる従業員も含まれます。
① 1年以上の長さで雇用契約をしているか、または、雇用期間を全く定めていないか、 あるいは既に1年以上引き続いて雇用した実績があること。
② 一週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上であること。
※ 上記の②にあたらない場合でも、①に該当し、同種の業務に従事する労働者の一週間の所定労働時間の概ね 2分の1以上の労働時間数を有する者に対しても、健康診断を実施することが望ましいとされています。
出典:厚生労働省東京労働局
つまり、アルバイトやインターンであっても、契約期間や労働時間が一定以上の場合は、会社で費用負担して健康診断を実施しなければなりません。
雇入れ時の健康診断
- 対象者:常時使用する全ての労働者
「入社時健診」などと呼ばれることもあります。
原則として「雇入れの直前又は直後」に定期健診と同様の11の法定項目の健康診断を実施します。
該当の従業員が入社前3ヶ月以内に受診した健康診断結果がある場合は、その健康診断結果を提出してもらうことで、雇い入れ時の健康診断を省略することができます。
特定業務従事者の健康診断
- 対象者:以下に記載する業務従事者
以下の「特定業務」に従事する場合、6ヶ月以内ごとに1回、法定項目の受診が義務付けられています。
定期健診と実施内容が重複するため、1年のうち1回は定期健診で代用している企業も多いです。
受診費用も法定項目の健康診断と同様のため、特定業務従事者については、定期健康診断の費用が1年間で2倍ほどかかることになります。
特定業務一覧
(労働安全衛生規則第13条1項第2号に掲げる業務)1.多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務
2.多量の低音物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務
3.ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
4.土石、獣毛等の塵埃または粉末が著しく飛散する場所における業務
5.異常気圧下における業務
6.削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
7.重量物の取り扱い等重激な業務
8.ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
9.坑内における業務
10.深夜業を含む業務
11.水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、
石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務12.鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、
二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉じんを
発散する場所における業務13.病原体によって汚染のおそれが著しい業務
14.その他厚生労働大臣が定める業務
海外派遣労働者の健康診断
- 対象者:6ヶ月以上の海外渡航予定がある労働者および6ヶ月以上の海外渡航から帰国した労働者
長期の海外派遣に当たっては、出国前及び帰国後に健診を受診させる必要があります。
6ヶ月以内に定期健診や雇入時健診で法定項目の受診結果がある場合は、その結果を提出する事で代用が可能です。また、医師が必要と認めた場合には以下の検査を実施する必要があります。
- 腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
- 血中の尿酸の量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- ABO式およびRh式の血液型検査(派遣前に限る)
- 糞便塗抹検査(帰国時に限る)
給食従業員の検便
- 対象者:食堂または炊事場での給食業務に従事する者
対象業務従事者の雇入れ時、当該業務への配置替えの際に検便の実施が義務付けられています。
特殊健康診断
- 対象者:特定の有害業務に従事する労働者及び業務従事経験のある労働者
労働衛生対策上、特に人体に有害であるといわれている物質を扱う業務や作業に従事する労働者を対象として実施する健康診断です。
労働安全衛生法及び各種法令で特殊健康診断を実施しなければならないとされている業務は、次の通りです。
- 特定化学物質健康診断
- 有機溶剤等健康診断
- 鉛健康診断
- 四アルキル鉛健康診断
- 高気圧業務健康診断
- 電離放射線健康診断
- 除染等電離放射線健康診断
- 石綿健康診断
- じん肺健康管理
- 指導勧奨による特殊健康診断
特殊健康診断については、検査対象者の抽出及び受診項目の確認が複雑なため、産業医と相談しながら受診計画を立てる事をおすすめします。
健康診断の「法定外項目」
ここまで、企業が実施すべき健康診断の種別について見てきました。
法定で定められた健康診断の受診内容については企業に安全配慮義務があるため企業での費用負担が原則と定められていますが、法定外項目を受診する場合(オプション検査や、人間ドックでの代用の場合)は、状況に応じて企業と従業員どちらが費用負担すべきか決める必要が出てきます。
「会社が費用負担すべきか迷いやすい、5つの健康診断のケース」
について解説します。
会社が費用負担にすべきか迷う5つのケース
会社で健康診断の費用を負担にすべきか迷いやすいのは、次の5つのケースです。
- 定期健康診断
- 雇入れ時の健康診断
- 定期健康診断+オプション検査
- 人間ドック
- 再検査
ここまで法定外項目は従業員と企業どちらが費用負担するかを決める必要が出てくるとお伝えしてきましたが、一部例外が存在し
「法定項目以外の受診でも、会社負担となるケース」
もあるので、詳しく見ていきましょう。
【ケース1】定期健康診断
定期健康診断は、労働安全衛生規則第44条によって実施が義務付けられています。よって定期健康診断の法定項目にかかる費用は、すべて会社負担とするのが基本です。
特殊健康診断(法律で定められた、有害な業務で働く労働者向けの健康診断)にかかる費用も、当然、会社負担となります。
【ケース2】雇入れ時の健康診断
従業員を新規雇用した場合、「労働安全衛生規則 第43条」に基づき、健康診断を行う必要があります。
雇入れ時の健康診断の費用の支払い方法には、以下の2パターンがあります。
- 入社前に受診した健康診断書を提出させ、費用は後日経費精算とする場合
- 入社後に雇入れ時の健康診断を実施し、会社負担とする場合
入社後に雇入れ時の健康診断を実施する場合は、定期健康診断と同じく費用は会社負担となります。
入社前に受診した健康診断結果の提出を求める場合は、従業員の負担とするケースもありますが、雇入時健診の実施は法律で義務付けられているため、可能であれば個人負担ではなく、領収書をもらって会社負担とするのが望ましいです。
ちなみに契約社員や派遣社員であったとしても、雇入れ時の健康診断が必要となるケースはあります。以下で詳しく解説しているので、詳細について知りたい方はご一読ください。
一方で「オプション検査」を実施する場合は、従業員の負担とするケースも。詳しく見ていきましょう。
【ケース3】オプション検査
子宮がん検査や胃カメラ検査など、法定外のオプション検査を実施する場合は、従業員の個人負担としているケースが多く見られます。法定項目にプラスして実施される代表的なオプション検査には以下のようなものがあります。
オプション検査の例
- 胃カメラ
- 乳がん検査
- 子宮頸がん検査
- 肝炎ウイルス検査
- 腹部超音波検査
こういったオプション検査の受診は法律で義務づけられているものではありません。したがって、オプション検査への費用補助は企業の実情に合わせて決定する必要があります。
企業によるオプション検査費用補助の例としては、健保(協会けんぽ、または、健康保険組合)の補助対象条件を満たす検査のみ残額を負担することがあります。補助内容の決定については安全衛生委員会で労使の合意を取り、議事録に残したうえで就業規則等へ反映するのが望ましいでしょう。
【ケース4】人間ドックの費用
人間ドックは定期健康診断よりも検査項目が多く、健康に関して気になる従業員から受診を希望される場合もあります。しかし定期健康診断よりも費用が高額のため、どこまで会社負担にすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、法定外項目は受診が必須ではないため「人間ドックの費用は個人負担」でも問題ありません。ただし、法定項目の健康診断については会社で負担することが原則であるため、人間ドックの結果を健康診断として代用する場合は企業と労働者の間でのルール設定が必要になります。
自治体や健康保険組合などの補助金を利用して、一部を個人負担すれば人間ドックを受診できるようなルールにしている企業もあります。補助金によっては支給要件が厳しいものや、採択率が低いものもあるため個別に調べる必要があります。
また、対象者の選別方法として、入社歴・年度末年齢(奇数偶数・○歳以上で5歳刻み)などのルールを設ける事で補助対象者を管理する例も多く見られます。
健康診断を人間ドックで代用する場合の注意点については、以下の記事にも詳細を記載しています。
【ケース5】再検査の費用
健康診断結果で「再検査が必要」との判定が出た場合でも、企業で再検査の費用を負担する義務はありません。
企業には「安全配慮義務」がありますが、業務との関係が全くない検査項目での再検査も含まれることもあり、法令上必須とはなっていないのです。ただし、産業医による就業判定時に再検査結果の提出を依頼されたケースなどでは企業で費用負担することが望ましいです。
(労働者の安全への配慮)
労働契約法
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
費用面での配慮以外にも従業員が再検査を受診しやすいよう、たとえば
- 再検査日に有給を許可
- 再検査ができるよう上長に相談し業務調整をする
といった再受診しやすい環境作りを心がけましょう。
令和2年の有所見率は58.5%で、全国健康保険協会福井支部のプレスリリースによると平成 30 年度の福井支部において、再検査・要治療と判定された方は13.0%でした。そのうち、健診受診後 3 か月以内の医療機関未受診者は 35.5%です。健康経営銘柄や健康経営優良法人の認定基準としても、再検査の受診勧奨の取り組みが入っており、再検査を受けやすい体制を整えることの重要性が増しております。
また、特殊健康診断で「有所見(異常あり)」となった場合は、再検査が必須です。費用も会社負担となるので、注意しましょう。
会社で健康診断の費用負担すべきケースまとめ
- 健康診断の実施費用は、法定項目であれば会社負担となる
- 法定外項目の場合(オプション検査など)は個人負担にするケースもある
- 健康診断の代用として人間ドックを受けた場合でも一部負担とするケースも
- 産業医の指示で再検査が必要な場合は会社側でも配慮が必要
また健康診断は、受診費用だけでなく人的コストにも目を向けなければなりません。健康診断の業務コストを抑えるために有効なのが、健康診断の一括予約と健診結果のペーパレス化です。詳細は、以下をご一読ください。
次に、「健康診断の費用に関するよくある4つの質問と回答」を解説します。
健康診断の費用に関するよくある4つの質問
健康診断の費用についてのよくある質問は、次の4つです。
- 健康診断の費用はどれほど必要か
- 健康診断の費用に関して健康保険組合の補助を利用できるか
- 健康診断を実施中の賃金はどうするべきか
- 健康診断に助成金は活用できるか
実際の費用感や、助成金などの情報は気になる方も多いのではないでしょうか。1つずつ詳しく見ていきましょう。
【質問1】健康診断の費用はどのぐらいかかる?
健康診断の実施費用は、地域や利用する医療機関、健保補助の利用有無、自治体のクーポンの有無などによって変動します。とはいえ、実際のところどのぐらいかかるか気になる方もいるでしょう。
そんな方向けに、「47都道府県別の健康診断の料金」を調べてまとめています。
(※2021年2月25日(木)時点の情報です)
法定項目の受診費用については、8,000円〜10,000円ほどが多いですが都道府県ごとの平均料金は下記を参考にしてください。
【質問2】健保の補助とは?会社負担・健保負担・本人負担について
加入している健康保険によっては、健保が独自の健診コースを設けていたり、オプション検査費用の補助金を出している場合があります。
例えば全国健康保険協会(協会けんぽ)では、年度末年齢35歳以上の加入者に対し、法定項目に胃部検査などが付帯された生活習慣病予防健診(一般健診)コースを提供しています。
健保が一部費用を負担するため、医療機関で設定された法定項目のみのコースを受診するよりも安い費用で充実した内容を受診する事ができるのです。
協会けんぽ 生活習慣病予防健診のご案内
オプション検査についても同様に、年齢や性別によって補助金を出しているケースがあり、補助が適用される年度のみ残りの費用を会社負担している企業もあります。
健保補助の適用要件は年度毎に変更される場合があるため、毎年HPを確認されることをおすすめします。
参考として、協会けんぽ、関東ITソフトウェア健康保険組合、東京都情報サービス産業健康保険組合(TJK)の健康診断に関する情報はこちらです。
健診のご案内 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
健診実施要領 | [ITS]関東ITソフトウェア健康保険組合
健康診断 – TJK 東京都情報サービス産業健康保険組合
【質問3】健康診断の受診時間分の賃金はどうなる?
健康診断を実施する時の賃金については「会社負担」にするのが望ましいです。特殊健康診断については、必ず受診時間も賃金を支給する必要がありますが、それ以外の健康診断については受診時間を有給(労働時間扱い)にする義務はありません。
厚生労働省では、以下のように健康診断時の賃金についての回答があります。
一般健康診断は、一般的な健康確保を目的として事業者に実施義務を課したものですので、業務遂行との直接の関連において行われるものではありません。そのため、受診のための時間についての賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。
引用元:健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?|厚生労働省
ただし、円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。
厚生労働省の回答にもある通り、安全衛生委員会を開いて労使間で合意を取り、議事録を残したうえで就業規則等で定めておきましょう。
【質問4】健康診断に助成金は使えるの?
健康診断の実施には、「キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)」というものがありましたが、令和4年度に「賞与・退職金制度導入コース」に変わり健康診断は助成対象外になりました。
詳しい情報は、厚生労働省で「キャリアアップ助成金」の最新のWEBサイトをご確認ください。
定期健康診断を人間ドックで代用する場合は、各自治体や健康保険組合の補助金等を受けられることもあります。人間ドックを健康診断を代用しようとお考えの方は、以下よりぜひご確認ください。
人間ドックの助成金・割引制度を探す方法
- 「人間ドック 助成金 (お住まいの地域名)」で検索
- 加入している健康保険組合または健康保険協会をチェック
ここまで、健康診断の「費用」に関するよくある質問を解説しました。
健康診断の実施費用は、決して安くありません。補助金や助成金を活用して、上手に負担を減らしていきましょう。
健康診断の費用は、人的コストがかかる点にも注意
健康診断に関わる「人的コスト」にも目を向ける必要があります。健康診断業務には、大きく分けて以下のような業務があります。

健診機関・クリニックへの受診予約ひとつとっても、
- 電話
- FAX
- 専用のWebフォーム
- Excelでの名簿作成
など予約方法が異なり、健診機関・クリニックごとに対応が求められます。また健診機関・クリニックの日程と従業員の日程を調整するため、予約業務だけでも負荷がかかります。
さらに加入している健康保険によって補助金の条件などが異なり、その確認や補助申請書類の作成に時間がかかることも。そしていざ健康診断を受診したとしても、受診結果をもとに事後措置と呼ばれる業務があります。
健康診断の事後措置は大きく分けて以下の3つの業務からなります。
- 産業医による就業判定
- 労働基準監督署への結果報告
- 異常所見有無の確認と保健指導(努力義務)
このように、受診後の対応も発生するため、効率的に行わなければ担当者には負荷がかかります。一方で
- 1年に1度の健康診断の受診し、結果の報告が必要
- 医師の意見聴取は、健康診断結果が届いてから3カ月以内まで
といった法律で定められた対応期日があるため、他の業務を理由に放置できるものでもありません。
業務効率化を進めないと期限を過ぎてしまい、労基署に指摘されてしまう可能性も。こういった健康診断の業務負荷を抑えるためには、健診結果管理のペーパレス化が有効です。
ペーパレス化で効率化できる健康診断業務の例
- 結果がデータで届くため、効率的に個人票の作成が可能
- 結果を1枚ずつ確認しなくても、有所見の確認が可能
- 履歴を確認しやすくなり、産業医面談の準備を効率化
ペーパレス化で効率化できる業務について詳しく確認したい方は、以下をご一読ください。
まとめ:法定項目は会社負担、法定外項目は会社のルールを相談して決める
今回は会社側で健康診断の費用負担すべきか迷う5つのケースと4つのよくある質問について解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。
- 法定項目についての受診費用は会社側で負担すべき
- 法定外のオプション検査などは個人負担にしても問題ない
- 健康診断費用を会社負担とする5つのケース
- 1.定期健康診断
- 2.雇入れ時の健康診断
- 3.定期健康診断+オプション検査(オプション検査は、個人負担も可能)
- 4.人間ドック(検査が義務付けられている項目以外は、個人負担も可能)
- 5.再検査 (特殊健康診断の場合は会社負担とする)
- 健康診断の費用に関する、よくある4つの質問と回答
- 1.健康診断の費用は地域や医療機関によって異なる
- 2.加入健保によって受診費用の補助が適用される
- 3.健康診断を実施するときの賃金は会社側が負担するのが原則
- 4.健康診断の実施には助成金が活用できる
- 健康診断の実施には費用だけでなく人的コストも発生する
- 健康診断業務の効率化にはペーパレス化が必要
法定項目や特殊健診の受診費用は、基本的に会社が負担するべきです。 ただし健康診断の費用は決して安くないため、従業員数が増えるとコストも比例して増大します。
また健康診断の実施にはお金だけでなく、医療機関への手続きや健康診断の予約や日程変更調整、受診率100%達成のための進捗確認、健診事後措置といった「人的コスト」が発生するもの。
法律で定められた期間に間に合わせるために、できる限り業務効率化を図ることが大切です。
健診業務は細かく、属人化するのも仕方がないと諦めるのは時期尚早です。下記にて人的コスト削減や業務効率化を進めるための方法について詳しくご紹介しています。ご興味ある方はぜひご確認ください。