健康診断の再検査3カ月と6カ月、時期に違いがあるのはなぜ?

健康診断は実施することが目的ではありません。結果から、再検査が必要なのか、治療が必要なのかを判断し、健康改善に役立てることが重要です。法定項目、または会社ごとに決められた検査項目は実施できている会社が多いでしょう。
では、その後の再検査はどの程度勧奨できていますか。結果は人によって3カ月後再検査、6カ月後再検査、1年後フォローなど様々です。指示により、どの程度緊急性があり、フォローしていく必要があるのかを確認し、実際の再検査への取り組みに活かしていきましょう。
健康経営には健康診断後の事後フォローが重要
そもそも健康診断はなぜ行うのでしょうか。
- 生活習慣病の有無を確認して、病気にならないよう普段からの生活習慣を改善するきっかけにする
- 定期的な診断を行い、病気を早期発見することで精密検査また早期治療につなげる
この2点が健康診断を行う大きな理由です。
生活習慣病は食生活や生活スタイルの乱れにより、ゆっくりと、そして確実に進行します。生活習慣病が進行すると、心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病など様々な病気を引き起こす原因となり得ます。中には自覚症状が出にくく、気づいたときには進行しているというケースもあります。健康診断は実施するだけでなく、しっかりと結果を確認し事後フォローにつなげていきましょう。
健康診断で基準値外の数値、もしくは異常所見が見られた場合、従業員本人へ「要再検査」や「要精密検査」の通知を送ります。通知がきても忙しかったり、健康に関する関心が薄いと、その後の対応がおざなりになってしまう人も多くいるでしょう。通知が届いた場合は、必ず指示に従うよう周知するとともに、できればその後の経過もフォローするようにしましょう。
「要検査」と「要精密検査」の違いは知っていますか?
「要検査」は1回目の検査による異常が一時的なものでないかを確認するために行います。例えば、血液検査の中性脂肪値や空腹時血糖値は前日や当日の食事により変動するため、食事制限を守らなかったり忘れてしまうと検査結果に大きく影響します。また食生活の乱れなどで、一時的に値が上がってしまうこともあるため、本当に異常があるのかを確認するために、気になる項目を改めて検査するのが「再検査」です。
一方で「要精密検査」は異常な値や所見がある場合に、更に詳しい検査を行い、治療が必要かどうかを判断することが目的です。例えば、バリウム検査で胃に所見があった場合、胃カメラによる診断を行うのが、これにあたります。
再検査や精密検査は病気の早期発見・早期治療を行うために、とても重要です。
病気による休職者、退職者を発生させないためにも、再検査・精密検査・治療が必要な従業員は放置せずに受診勧奨を行い、定期的にフォローするようにしましょう。
再検査は指示通りに。スルーはNG!
まず確認ですが、年1回の定期健康診断(以下の項目)の実施は、法律で義務づけられています。(労働安全衛生規則第44条)
健康診断を実施しましょう – 厚生労働省
「健康診断の結果の記録」、「健康診断の結果についての医師等からの意見聴取」、「健康診断の結果の労働者への通知」これらの取組も労働安全衛生規則で定められています。
一方で、再検査(二次検査)実施や受診勧奨は会社の任意であり、義務ではありません。しかし病気の早期発見・早期治療を行うためには、再検査や精密検査を行うことが重要なのです。
では、再検査の従業員が現れた場合、いつまでに受診をしたらいいのでしょうか。
結論から言うと、「産業医の指示に従いましょう」。
常時50人以上の労働者を使用する事業場の場合、産業医に健康診断の結果に対して、産業医判定をもらっているかと思います。健診結果の用紙に記載されている判定も、もちろん間違えではありません。しかし、健診結果の判定は、異常値や所見を一つずつ見て、問題があった場合、自動で判定が下ります。それに対し産業医は一つの項目だけでなく、結果全体や既往歴を考慮して判断しているため、健診結果の判定よりも正確です。そのため優先度としては「産業医の判定 > 健診結果に記載されている判定」と従業員に通知をすると、双方の判定が異なった場合、混乱せずにすむでしょう。
産業医の判定、健診結果で異常値が出ている従業員をいち早く発見し、フォローするために効果的なのが、健康管理システムCarelyです。産業医の判定や自社で取り決めた異常値に該当する従業員をフィルターですぐ確認することが可能です。Carelyの詳細については、以下からお問い合わせください。
再検査3カ月後、6カ月後のちがいとは
- 健康(異常なし)
- 軽度異常(わずかに所見を認めるが、日常生活に問題なし)
- 経過観察(生活習慣等に改善すべき点があるため、年1回の健診で経過をみていく)
- ◎要再検査(再検査が必要)
- 要精密検査(異常の疑いがあるため、精密検査が必要)
- 要治療(ただちに専門の医療機関を受診し、治療を始める必要あり)
- 治療継続(既に治療中であり、引き続き治療を要する)
健診会社によって多少、区分・文言の違いはあるかと思いますが、健康診断の結果はおおまかにこのように分けられます。産業医の判定も、会社により違いはあるにせよ、このような区分方法が多いのではないでしょうか。
今回注目するのは、「◎要再検査」の部分です。再検査の時期は3カ月後もしくは6カ月後に受けてくださいと記載されていることが多いです。なぜ再検査の時期は一律ではなく、違いがあるのかと疑問に感じる従業員もいるかと思います。
再検査の時期に差があるのは、該当項目によって数値や所見が、急速に変動するものと、ゆっくりと変動するものがあるからです。急を要する値の場合は、早めに再検査が必要なのに対し、長期的な目で経過を観察していく必要がある場合は、少し期間を空けてから再検査を行う、という違いになります。
例えば、エコー(超音波検査)で小さな腫瘍があったとします。しかし、とても小さく、癌の疑いも低そう、でも念のためもう少し期間が経ってから経過を観察したい、などという場合に「6カ月後に再検査」とういう指示になるということです。
さいごに
定期健康診断は実施するだけでなく、結果をもとに受診や保健指導、就業の措置につなげていくことに意味があります。再検査の必要性や重要性を従業員に伝えると共に、受診勧奨やその後のフォローも行うことで、健康管理につなげていきましょう。